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薬物療法 |
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非ステロイド系抗炎症薬 |
NSAIDs(non steroidal antiinflammatory drugs);消炎鎮痛薬 シクロオキゲナーゼ(COX)という酵素の働きを阻害し、炎症起因物質/プロスタグランジンの合成を阻害する。鎮痛作用、解熱作用、抗炎症作用、血小板凝固抑制作用を持つ。非ステロイド系抗炎症薬は酸性抗炎症薬と塩基性抗炎症薬に大別される。非ステロイド系抗炎症薬にはサリチル酸系、アリル酢酸系、プロピオン酸系、フェナム酸系、ピラゾロン系、オキシカム系、COX-2インヒビター、座薬、外用薬などがあります。非ステロイド系抗炎症薬の副作用としては腎障害、消化管障害、肝障害、血液障害、気管支喘息の誘発、過敏症などが代表的なものです。他の薬との飲み合わせでは、ワルファリン、トルブタミドなどでは出血傾向、低血糖症状の増強、ニューキノロン系抗菌薬との併用では痙攣の誘発があり、フェンブフェンとエニキサシンは絶対に禁忌です。 |
抗リウマチ薬 |
DMARDs;抗リウマチ薬の使用目的は免疫異常を改善します。関節炎を改善し、寛解に導きます。但し、抗リウマチ薬は直接の抗炎症作用は無く、薬の効果が発現するまでには、1ヶ月程度はかかります。効果が発現しだしますと、臨床症状だけではなく、赤血球沈降速度、CRP、貧血などの検査所見も改善される様になります。効果には個人差があります。抗リウマチ薬には金製剤/チオリンゴ酸ナトリウム(6割の患者さんに有効とされ、最もよく効くケースでは完全寛解にまで導かれます。)の場合、筋注ですが、間質性肺炎が起きたり、中途で効かなくなったり、口内炎、発疹、皮膚の痒みなどの副作用で中止になる場合もあります。長期使用では腎障害が起きる場合もあります。経口金製剤は筋注よりも更に効果の発現が遅く、副作用としては下痢、軟便などがあり、近年ではこれらの問題が有るため使用は控えられる傾向にあります。その他、ブシラミン、ペニシラミン、サラゾスルファピリジン、ロベンザリット、アクタリット、ミゾリビン、メトトレキサート、レフルノミド、タクロリムスなどがあります。 |
副腎皮質ステロイド薬 |
強い抗炎症作用と免疫抑制作用をもつ薬剤です。ステロイドは副腎で産生されますが、ステロイドホルモンは副腎の皮質で産生される、身体のホメオスタシス(恒常性)を保つために大切な働きをするものです。それは、体がストレスにさらされる時などに反応して産生されます。ステロイド薬がリウマチに効果がある事は1940年代にアメリカのヘンチにより明らかにされましたが、このステロイド薬には重症の副作用を起こす事や、ステロイドだけではリウマチは改善されない事も判明しております。ステロイド薬に破ブレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタネタゾンなどがよく用いられます。ステロイド薬は朝だけ服用します。そしてその服用方法は、最初に大量に用い、症状や検査の結果から、効果が出てきたと判断されたら、効果に合わせて、一定の量までは徐々に服用量を減らし、再燃しない最低量(維持量)を長期間服用してゆきます。朝にだけステロイド薬を服用すれば、夕方から翌早朝にかけてステロイドの血中濃度はほぼ、ゼロとなります。これにより、副腎は刺激されステロイドホルモンを産生する能力も回復し易くなります。ステロイド薬はよく効く一方で、副作用も重大なものがあります。その副作用は生命予後にまで影響を及ぼすものや、臓器障害を起こすものもあります。感染症(多核白血球やリンパ球の機能を低下させるため日和見感染を起こす)、糖尿病(ステロイド薬の服用で、糖尿病の発症が誘発されるステロイド糖尿病)、消化性潰瘍(ステロイド薬の連用で、胃の粘膜でプロスタグランジンの産生を抑制する事により、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が悪化する/貧血や便潜血検査をする)、骨粗鬆症(全身性エリテマトーデスの患者さんは、骨粗しょう症を起こした場合、日光に当たりすぎると病気が再燃する恐れがあるので注意が必要)、骨壊死(大腿骨頭壊死を起こすと、股関節が痛くなってきます。ステロイド薬の大量服用では、骨壊死を起こす場合、大腿骨頭が最も多い。)、筋萎縮(ステロイドミオパチー/ステロイドの大量服用で、特に手脚で身体に近い、上腕部や大腿部の筋肉が萎縮する。)、精神症状、高血圧(ステロイド薬は身体に塩分を溜める働きがある。)、白内障、緑内障、満月様顔貌(ムーンフェイス)、にきび、皮膚線条、あざなど |
免疫抑制薬 |
ステロイド薬の効果が不十分であったり、副作用で問題が有る場合には免疫抑制薬を使用する場合もあります。免疫抑制薬の場合には抗炎症効果は無く、免疫を抑制するために日和見感染を起こす事もあります。免疫抑制薬にはアザチオプリン、シクロフォスファミド、メトトレキサート、ミゾリビン、シクロスポリン、タクロリムスなどがあります。 |
生物学的製剤 |
遺伝子組み換え技術を使って作られる製剤で、サイトカインが注目されております。炎症を起こすと、炎症の局所では炎症性サイトカインと呼ばれるサイトカインが大量に産生され、炎症が更に悪化する事が分かってきた。関節リウマチの場合、TNFαと呼ばれる炎症性サイトカインが注目される。TNFαは腫瘍壊死因子とも呼ばれるもので、感染病原体や腫瘍に対する防御機構に大切な働きをする。しかし、このTNFαが炎症を起こしている局所で、大量に産生されるとリウマチの炎症は益々悪化させてしまう。このTNFαは、骨を壊す破骨細胞を活性化させるため、骨破壊の大きな原因です。更に、発熱、体重減少、貧血などの症状もTNFαが関与していると考えられております。TNFα阻害療法の重要性はここにあります。生物学的製剤には抗TNFα抗体としてインフリキシマブ、可溶性TNFαレセプターとしてエタネルセプト、その他、抗インターロイキン6受容体抗体としてトシリズマブは、我が国で注目されております。インターロイキン1レセプターアンタゴニストも米国では認可されております。その他にも、アバタセプト、リツキシマブ、などこの分野の製剤は黎明期を迎えようとしております。 |
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手術療法 |
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滑膜切除術 |
最近ではあまり行われておりません。以前は炎症の激しい関節に対して行われましたが、薬物療法を充分に行わなければ、手術をしても再発してしまうためです。 |
人工関節置換術 |
膝と股関節ではよく行われております。肘や手の手術成績はあまりよく有りません。体重を支える大きな関節に適している様です。近年の人工関節材料の開発により、耐用年数など手術成績は著しい。 |
関節固定術 |
頚椎の変化を放置しますと、神経が圧迫されて、手足の痺れや麻痺が出ることがあったり、突然死の原因にもなっております。頚椎の場合で、特に環軸関節の亜脱臼がある場合や、軸突起が頭蓋骨内に陥入している場合、頚椎の固定術を行います。これは手首や足首でも痛みが強ければ、実施する事があります。但し、固定するために関節が動かなくなります。 |
その他 |
手の腱の断裂がある場合などにも手術が選択されることがあります。。 |
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その他治療法 |
評価は定まっておりませんが、血漿交換療法やリンパ球除去療法なども試験的に行われております。白血球除去療法は、身体のこわばりは改善するが、検査データの改善は殆ど確認されておりません。 |
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