慢性関節リウマチ・症状・痛み・病気

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慢性関節リウマチ・症状/痛みと病気




     
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慢性関節リウマチ・症状/痛みと病気



     
慢性関節リウマチ/全身性関節/全身性/痛みと病気

       
早期には関節を包む関節包の内側にある滑膜に炎症が起こり、充血、肥厚が生じ、進行するにつれ、軟骨

       や骨が破壊される全身性の膠原病の一種で、他の臓器(血管や心臓等)に合併症をも伴ないます。やがて

       は、関節が強直し、固定してしまい動きが効かなくなります。




関節リウマチは滑膜組織におこりますので、関節

リウマチは滑膜炎ということができます。従いまし

て、関節リウマチは早期に診断して適切な治療が

受けられれば、軟骨や骨は壊れないとされます。

この滑膜は一層の薄い膜からできており、関節

組織を内側からくるんでおります。 滑膜は関節

液を作ったり、関節液を通じて、関節軟骨に栄養

を供給する役割を果たします。関節リウマチは最

初から軟骨や骨に起こるものでは有りません。

関節リウマチの炎症が進行しますと、滑膜組織からTNFα、IL-1(インターロイキン1)、IL-6などの炎

症性のサイトカインや中性プロテアーゼ、活性酸素、一酸化窒素などの物質が続々と産生されてきま

す。これらの物質のうちの中性プロテアーゼという酵素が軟骨を破壊することが分かっております。更

に、一酸化窒素が軟骨細胞を障害すると考える説もあります。 一方で、骨に関しては関節リウマチの

場合、破骨細胞が骨芽細胞の力を上回り、骨を破壊します。 この場合の破骨細胞を活性化させる物

質は、様々な炎症性サイトカイン(滑膜組織から産生される/前述)です。関節リウマチはその発症の仕

方から、緩徐発症型(70%)、急性発症型(10%)、中間型(20%)に分類されます。このうち急性発症

型は外傷や強いストレスをきっかけにして発症することが多く、関節症状は激しい特徴があります。また、

関節リウマチは経過から分類しますと、 単周期型(20%)、多周期寛解型(40%)、多周期憎悪型(30

%)、進行憎悪型(10%)に分けられます。 また、関節リウマチの亜型としては若年性リウマチがあり、

全身型(スティル病)、多関節炎型、乏関節炎型があります。 その他、フェルティ症候群(脾腫と白血球

の減少を伴なうリウマチ)、カプラン症候群(じん肺を伴なう)などもあります。



* 近年、 関節破壊は発症後、 1〜2年で急激に進行する事が分かり、関節リウマチの診断後、抗リウマ

チ薬を中心とした治療を3ヶ月以内に開始する事が推奨されている。サイトカイン阻害薬(生物学的製剤

が開発され、メトトレキサートで効果が不十分の場合に選択されています。今後はさらに新しい製剤も承

認される可能性が高いとされております。60%のRA患者さんでは、関節破壊が全く進行しない寛解とな

っている報告があります。但し、全ての患者さんに効果が認められるというわけではありませんし、ウィル

スや細菌に対する抵抗力が落ちるために、肺炎や結核などの感染症に注意が必要であり、副作用(発疹、

頭痛、吐き気など)の問題もあります。










     
§1  慢性関節リウマチ(痛み・病気)の症状/慢性関節リウマチ/全身性関節/全身性/痛みと病気


       関節に炎症が起き、熱が出て、全身の筋肉が痛み、全身の関節が痛く、痛みは左右対照で、関節が赤く

       腫れます
。女性に多く、当初は関節がこわばり、次第に腫れて来て、痛みが現れます一箇所の関節か

       ら始まり、殆どは進行性、多発性、左右対称性、変形性
で膠原病の一つとされる難病です。進行してゆき

       ますと、手や指が外側に変形したり、関節亜脱臼を起こしたり、更に悪化すれば、関節は固くなり、動かな

       くなります。 胸膜炎や血管炎、末梢神経炎などの関節以外の病気を併発する事もあります。
手や指の関

       節が痛くて曲がらなく
なったり、曲げようとすると痛むような場合には慢性関節リウマチを疑います。又、

       の付け根の部分の関節(股関節)が痛くて、足が開かない
胡坐がかけない歩く時に痛みを感じるなどの

       時に可能性があります。




       
関節の痛み(左右対称に起き易い、初期はこわばりを感じるのが始まりの症状)、腫脹(左右対称で二箇所

       以上の関節に腫れがおこります。筋の萎縮や関節の変形も見られます。
)運動制限と朝のこわばりが見ら

       れます。痛みは安静時もあり、特に朝方に強く天候の影響を受け易い
病変が進むと手に種々の変形が生

       じる
肘頭、膝、足関節に硬いしこり(リウマトイド結節)が見られることもあります。



       


        ヘバーデン結節&リウマチ
     多くの例では、病気症状が進行するとパンヌス

     (炎症性の肉芽組織)によって骨や関節軟骨が

     侵食され、関節は著しく変形する。その状態は

     痛々しく日常動作にも大きく障害を来たします。

     更に進行すれば、身の回りの事が出来なくな

     り、寝たきりや車椅子の生活を余儀なくされま

     す。


   多くの患者さんの該当するのが進行型と呼ばれる

   もので、急性の経過をたどるタイプと緩やかな経過

   をたどるタイプが多いのですが、最終的には軟骨や

   骨が破壊され、機能障害をともなう、破壊による変形

   が強くでます。






     
§2  慢性関節リウマチとは(痛み・病気)/慢性関節リウマチ/全身性関節/全身性/痛みと病気


       慢性関節リウマチという病気は全身の関節に炎症が起きて痛み、進行すると手足が変形する慢性の疾病

       です。罹患すれば、病気との関係をずっと続けなければなりませんので、医師の指示による、薬物療法や

       日常生活管理をまもり、関節の変形、機能障害の進行防止、軽減してゆく事が大切です。


      
§2−1 関節リウマチという病気の診断基準/慢性関節リウマチ/全身性関節/全身性/痛みと病気


       (by アメリカリウマチ協会)

       
@少なくとも1H以上、朝のこわばりが6週間以上続く。A3関節以上の腫れが6週間以上続くB手関節

       中手指節関節、近位指節関節の腫れが6週間以上続く。C左右の同じ関節に腫れがある。D手の定型

       的なレントゲン像が見られる。E皮下に結節(リウマトイド結節)がある。Fリウマトイド因子が陽性である。

       以上の7項目中4項目に該当があれば関節リウマチと診断されますので
@〜C、Eはご覧のあなたにも

       判定できますので、
早期発見の自己診断には役にたちます。





RAの診断においてアメリカリウマチ学会では

「RAの確率が高い診断項目7項目の中で4項

目以上満たせば90%以上の確率でRAと診断

できる」との基準を定め、日本においても一般

的にこの診断基準が活用されています。





      §2−2 慢性関節リウマチという病気は自己免疫系疾患/慢性関節リウマチ/全身性関節/全身性/痛みと病気


       
免疫とは白血球などが外的に対して働く防御機構の事で、自己免疫疾患とは、自己の組織を外敵と誤って

       認識してしまいこれを排除するために攻撃してしまうために病気を引き起こしてしまう事です。


       慢性関節リウマチは関節を包む滑膜の炎症ではじまり、症状の悪化と軽減とを繰り返し、軟骨や骨が破壊

       される非化膿性の多発性の関節炎が関節リウマチです。慢性関節リウマチの本質は不明な点が多いので

すが、主要なものは、遺伝的な素因に何らかの

外因が働いて、 自己免疫異常が起こり持続す

る。免疫異常の引き金は、ウィルスなどの感染

であるという考え方があります。
ただし、関節リ

ウマチが家族内で発症するという例はあります

が、 一般的にそれ程強い遺伝性は無いとされ

ます。また、関節リウマチは出産をきっかけに

したり、怪我や強いストレスもきっかけになると

されます。





     
§3 慢性関節リウマチ(痛み・病気)の検査/慢性関節リウマチ/全身性関節/全身性/痛みと病気


       RA (関節リウマチ)は、 早期の段階で積極的な治療を行えば高い確率で寛解が得られ、また、予後が

       良好になることが知られている。関節リウマチの場合、赤血球沈降速度は酷ければ100ミリを超える事があ

       り、治療により関節リウマチが改善すれば、低下します。そのため、赤血球沈降速度はリウマチの活動性を

       掴むために使われます。但し、血中のγグロブリンが増加している場合や貧血の場合も数値は亢進します

       ので、その場合はCRP(C反応性蛋白)とともに測定します。CRPは炎症が関節の中で起こると、TNFαやIL-

       1、IL-6などのサイトカインが大量に産生され、その事により、サイトカインは肝臓に到達します。それにより、

       肝臓の細胞からCRP、フィブリノゲン、補体などの物質(急性炎症蛋白)が産生されます。これが炎症の指標

       になります。関節リウマチが酷ければ、10mg/dlを超える事もあります。リウマトイド因子はRAテストRAHA

       テストの2方法が知られており、 その他にIgG-RFテスト、CA-RF測定法(ガラクトース欠損IgGを抗原とする

       )などがあります。リウマトイド因子は免疫グロブリンに対する自己抗体です。(免疫グロブリン/血液中で抗体

       の役割を果たす) リウマチ患者の約70〜80%はリウマトイド因子陽性になりますが、残り20〜30%は陰性

       になるため、絶対的な判定法では無いという事も考慮に入れる必要はあります。リウマトイド因子が極めて高

       値でもリウマチを発症しない人もいます。その他、メタロプロテアーゼ3(MMP-3)、抗CCP抗体、x線検査、血

       液検査(貧血、白血球数、血小板数の増加)、 生化学検査(血清総蛋白、アルブミン値の低下、グロブリン値

       上昇、アルカリフォスファターゼ値の上昇も確認される事がある)などがあります。






       
関連検査値、基準値、検査関連


        赤血球沈降速度リウマトイド因子C反応性蛋白抗核抗体免疫グロブリン(Ig)・免疫複合体補体

        HLA抗原ヘモグロビン白血球血小板血清蛋白血清鉄トランスアミナーゼクレアチニン尿検査

        
アルカリホスファターゼ










     
§4  
慢性関節リウマチ(痛み・病気)の療法/慢性関節リウマチ/全身性関節/全身性/痛みと病気


       免疫力を高める事でリウマチなどの炎症を改善させる薬物もあります。症状が強い時は抗リウマチ薬として

       D-ペニシラミン製剤、金製剤、抗マラリア剤、免疫抑制剤副腎皮質ホルモン剤などを用います。症状を落

       ち着かせるために使用される抗リウマチ薬(寛解導入薬、遅効性リウマチ薬)には、即効性の鎮痛効果や抗

       炎症作用は無く、効果の発現までは2〜3ヶ月くらいかかります。


       鎮痛と炎症を抑えるため非ステロイド消炎鎮痛薬や副腎皮質ホルモンの併用もありますが、これらの消炎

       鎮痛薬の長期使用では問題点もあります。(非ステロイド消炎鎮痛薬/胃・十二指腸潰瘍、肝・腎機能障害、

       血小板の障害、アレルギーなど   ステロイド剤/骨の破壊、感染症、胃潰瘍、高血圧、副腎機能低下、顔

       のむくみなど) 関節のこわばりを和らげるために温泉やプールなどでの水中運動がリハビリに適するとさ

       れますが、炎症が激しい時期や、合併症併発時の温泉療法は薦められておりません。




薬物療法
 非ステロイド系抗炎症薬 NSAIDs(non steroidal antiinflammatory drugs);消炎鎮痛薬 シクロオキゲナーゼ(COX)という酵素の働きを阻害し、炎症起因物質/プロスタグランジンの合成を阻害する。鎮痛作用、解熱作用、抗炎症作用、血小板凝固抑制作用を持つ。非ステロイド系抗炎症薬は酸性抗炎症薬と塩基性抗炎症薬に大別される。非ステロイド系抗炎症薬にはサリチル酸系、アリル酢酸系、プロピオン酸系、フェナム酸系、ピラゾロン系、オキシカム系、COX-2インヒビター、座薬、外用薬などがあります。非ステロイド系抗炎症薬の副作用としては腎障害、消化管障害、肝障害、血液障害、気管支喘息の誘発、過敏症などが代表的なものです。他の薬との飲み合わせでは、ワルファリン、トルブタミドなどでは出血傾向、低血糖症状の増強、ニューキノロン系抗菌薬との併用では痙攣の誘発があり、フェンブフェンとエニキサシンは絶対に禁忌です。
 抗リウマチ薬 DMARDs;抗リウマチ薬の使用目的は免疫異常を改善します。関節炎を改善し、寛解に導きます。但し、抗リウマチ薬は直接の抗炎症作用は無く、薬の効果が発現するまでには、1ヶ月程度はかかります。効果が発現しだしますと、臨床症状だけではなく、赤血球沈降速度、CRP、貧血などの検査所見も改善される様になります。効果には個人差があります。抗リウマチ薬には金製剤/チオリンゴ酸ナトリウム(6割の患者さんに有効とされ、最もよく効くケースでは完全寛解にまで導かれます。)の場合、筋注ですが、間質性肺炎が起きたり、中途で効かなくなったり、口内炎、発疹、皮膚の痒みなどの副作用で中止になる場合もあります。長期使用では腎障害が起きる場合もあります。経口金製剤は筋注よりも更に効果の発現が遅く、副作用としては下痢、軟便などがあり、近年ではこれらの問題が有るため使用は控えられる傾向にあります。その他、ブシラミン、ペニシラミン、サラゾスルファピリジン、ロベンザリット、アクタリット、ミゾリビン、メトトレキサート、レフルノミド、タクロリムスなどがあります。
 副腎皮質ステロイド薬 強い抗炎症作用と免疫抑制作用をもつ薬剤です。ステロイドは副腎で産生されますが、ステロイドホルモンは副腎の皮質で産生される、身体のホメオスタシス(恒常性)を保つために大切な働きをするものです。それは、体がストレスにさらされる時などに反応して産生されます。ステロイド薬がリウマチに効果がある事は1940年代にアメリカのヘンチにより明らかにされましたが、このステロイド薬には重症の副作用を起こす事や、ステロイドだけではリウマチは改善されない事も判明しております。ステロイド薬に破ブレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタネタゾンなどがよく用いられます。ステロイド薬は朝だけ服用します。そしてその服用方法は、最初に大量に用い、症状や検査の結果から、効果が出てきたと判断されたら、効果に合わせて、一定の量までは徐々に服用量を減らし、再燃しない最低量(維持量)を長期間服用してゆきます。朝にだけステロイド薬を服用すれば、夕方から翌早朝にかけてステロイドの血中濃度はほぼ、ゼロとなります。これにより、副腎は刺激されステロイドホルモンを産生する能力も回復し易くなります。ステロイド薬はよく効く一方で、副作用も重大なものがあります。その副作用は生命予後にまで影響を及ぼすものや、臓器障害を起こすものもあります。感染症(多核白血球やリンパ球の機能を低下させるため日和見感染を起こす)、糖尿病(ステロイド薬の服用で、糖尿病の発症が誘発されるステロイド糖尿病)、消化性潰瘍(ステロイド薬の連用で、胃の粘膜でプロスタグランジンの産生を抑制する事により、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が悪化する/貧血や便潜血検査をする)、骨粗鬆症(全身性エリテマトーデスの患者さんは、骨粗しょう症を起こした場合、日光に当たりすぎると病気が再燃する恐れがあるので注意が必要)、骨壊死(大腿骨頭壊死を起こすと、股関節が痛くなってきます。ステロイド薬の大量服用では、骨壊死を起こす場合、大腿骨頭が最も多い。)、筋萎縮(ステロイドミオパチー/ステロイドの大量服用で、特に手脚で身体に近い、上腕部や大腿部の筋肉が萎縮する。)、精神症状、高血圧(ステロイド薬は身体に塩分を溜める働きがある。)、白内障、緑内障、満月様顔貌(ムーンフェイス)、にきび、皮膚線条、あざなど
 免疫抑制薬 ステロイド薬の効果が不十分であったり、副作用で問題が有る場合には免疫抑制薬を使用する場合もあります。免疫抑制薬の場合には抗炎症効果は無く、免疫を抑制するために日和見感染を起こす事もあります。免疫抑制薬にはアザチオプリン、シクロフォスファミド、メトトレキサート、ミゾリビン、シクロスポリン、タクロリムスなどがあります。
 生物学的製剤 遺伝子組み換え技術を使って作られる製剤で、サイトカインが注目されております。炎症を起こすと、炎症の局所では炎症性サイトカインと呼ばれるサイトカインが大量に産生され、炎症が更に悪化する事が分かってきた。関節リウマチの場合、TNFαと呼ばれる炎症性サイトカインが注目される。TNFαは腫瘍壊死因子とも呼ばれるもので、感染病原体や腫瘍に対する防御機構に大切な働きをする。しかし、このTNFαが炎症を起こしている局所で、大量に産生されるとリウマチの炎症は益々悪化させてしまう。このTNFαは、骨を壊す破骨細胞を活性化させるため、骨破壊の大きな原因です。更に、発熱、体重減少、貧血などの症状もTNFαが関与していると考えられております。TNFα阻害療法の重要性はここにあります。生物学的製剤には抗TNFα抗体としてインフリキシマブ、可溶性TNFαレセプターとしてエタネルセプト、その他、抗インターロイキン6受容体抗体としてトシリズマブは、我が国で注目されております。インターロイキン1レセプターアンタゴニストも米国では認可されております。その他にも、アバタセプト、リツキシマブ、などこの分野の製剤は黎明期を迎えようとしております。
手術療法
 滑膜切除術 最近ではあまり行われておりません。以前は炎症の激しい関節に対して行われましたが、薬物療法を充分に行わなければ、手術をしても再発してしまうためです。
 人工関節置換術 膝と股関節ではよく行われております。肘や手の手術成績はあまりよく有りません。体重を支える大きな関節に適している様です。近年の人工関節材料の開発により、耐用年数など手術成績は著しい。
 関節固定術 頚椎の変化を放置しますと、神経が圧迫されて、手足の痺れや麻痺が出ることがあったり、突然死の原因にもなっております。頚椎の場合で、特に環軸関節の亜脱臼がある場合や、軸突起が頭蓋骨内に陥入している場合、頚椎の固定術を行います。これは手首や足首でも痛みが強ければ、実施する事があります。但し、固定するために関節が動かなくなります。
 その他 手の腱の断裂がある場合などにも手術が選択されることがあります。。
その他治療法 評価は定まっておりませんが、血漿交換療法やリンパ球除去療法なども試験的に行われております。白血球除去療法は、身体のこわばりは改善するが、検査データの改善は殆ど確認されておりません。



       
       
* デンマークで開かれた欧州リウマチ学会で、研究結果が報告されております。関節リウマチは発症後、最

       初の1年の治療がその後を大きく左右するとされます。近年の傾向では、炎症を抑えるための抗リウマチ薬

       が効かない場合、早めに生物製剤に切り替える傾向が強くなっております。 生物製剤にはインターロイキン

       6(IL−6)や、 腫瘍壊死因子α(TNF−α)などの情報伝達分子が細胞の表面にある受容体に結合するの

       を阻害するものなどがあります。日本で開発されたトシリズマブ(アクテムラ)は、IL−6を標的とする唯一の

       薬剤である事もあり、多くの専門家からの関心を集めております。 また、抗リウマチ薬のメトトレキサート(M

       TX)が効かなかったケースに、メトトレキサートとトシリズマブ(アクテムラ)を併用した事例の報告がありまし

       た。 ここでは関節破壊の進行を抑えたり、身体機能を改善する効果がメトトレキサート単独よりも高いという、

       症状改善事例が報告されております。(他の生物学的製剤は、単独ではメトトレキサートよりも効果が低いと

       されている)一方、TNF−αを標的とするインフリキシマブ(レミケード)では、症状が改善して安定すれば、投

       薬を中止できる可能性があるという研究報告もなされております。これはMTXと併用し、症状が改善した102

       人の症例でレミケードを中止したもので、 その55%の患者さんは、1年間良好な状態を維持できているという

       ものです。 関節リウマチは、滑膜が炎症を起こし、骨を破壊する細胞が活性化し、関節の破壊に至る原因不

       明の自己免疫系の疾患ですが、関節破壊を防ぐ効果のある製剤などの研究は今後も、積み重ねられて行く

       方向にあります。





     
  * FDA(米食品医薬品局)から警告表示がされております。「腫瘍壊死(TNF)阻害薬の中で、青少年が使用

       した場合に癌の発症リスクが上昇する」 というものです。 対象製品はレミケード (一般名/インフリキシマブ)、

       エンブレル(エタネルセプト)、ヒュミラ(アダリムマブ)など5種類を指摘しております。 日本では、承認済みの

       ものや、臨床試験進行中のものもあります。 TNF阻害薬は関節リウマチの他にも、クローン病、潰瘍性大腸

       炎などに処方される事があります。米国では関節リウマチの改善効果が高いために、人気の高い薬剤になっ

       ております。











      §5  鑑別対象疾患/慢性関節リウマチ/全身性関節/全身性/痛みと病気


        変形性関節症
関節リウマチの様に関節炎を多発する事はありません。全身性炎症は認められることも有

        りますが、関節リウマチと比べますと軽度です。ヘバーデン結節やPIP関節のプシャール結節などがありま

        す



        痛風;足の親指の付け根に好発する疼痛・腫脹・発赤の著しい疾患です。発作と高尿酸血症で概ね診断が

        つきます。関節液中に針状の尿酸結晶を認められれば、間違いありません。慢性の経過あるいは、多発性

        に発症する場合には鑑別が困難な場合があります。



        全身性エリテマトーデス(SLE);臨床症状・抗核抗体陽性・抗DNA抗体陽性・血清補体の低下などの免疫

        検査で鑑別できます。若い女性に好発します。



        ベーチェット病;多発性関節炎が出てくる症例では鑑別が困難である場合もありますが、HLA-B51が半数

        程度陽性・リウマチ因子が陰性である事・関節液の補体価が高値である事やその他、 X線で関節破壊陰

        影が無い事、眼・皮膚・粘膜の症状などで鑑別可能になります。症状は口腔粘膜や.部の潰瘍、ぶど

        う膜炎、皮疹のいずれかと、関節症状が確認されます。



        その他、強直性脊椎炎・乾癬性関節炎・シェーグレン症候群強皮症・多発性筋炎・自己免疫性甲状腺疾

        患・自己免疫性疾患など鑑別されなければなりません。












      * 抗核抗体;全身性エリテマトーデスなどの他の膠原病に特異的であり、RAは20%程度が陽性になります。


      * 免疫グロブリン(Ig)・免疫複合体;特異的では有りませんが、高γ-グロブリン血症がみられます。MRAで免

      疫複合体が陽性になることがあります。IgG、IgMが高値を示します。



      * 補体;慢性炎症を反映し、RAの活動性が上がれば上昇しますが、鋭敏に炎症程度を反映するものでは有り

      ません。炎症局所では補体の消費は亢進し、RAの関節液中では補体値は減少しています。MRAでは血管炎

      の活動性に伴なって低下します。



      * HLA抗原(human leukocyte antigen);HLA-DR4はRAの発症などに相関し、重症度にも相関するとする報告

      がある。 (RAは遺伝的因子や環境因子が絡み合って発症すると考えられており、その遺伝的因子の一つとし

      て、ヒトの組織適合抗原であるHLAがRAと関連している)



      * RA(rheumatoid arthritis);関節リウマチ


      * ヘモグロビン;活動性の亢進と共に減少し、貧血は軽度から中等度の正球性正色素性貧血、あるいは正球

      性低色素貧血を呈する。急速なあるいは高度の貧血は消化管出血が疑われます。



      * 白血球;正常か軽度上昇し好中球優位の事が多い。上昇の程度は炎症の程度とほぼ相関します。感染症

      でも増加し、著明な上昇はMRA、スチル病(若年性関節リウマチの成人発症例と考えられる。日内差の著明

      な高熱とリウマトイド疹がみられ、 肝脾腫を伴ない、心筋炎を合併する例もある)の可能性があります。逆に

      減少していれば薬剤の副作用、フェルティ症候群(RA、脾腫、白血球減少/特に好中球 の三主徴を呈する。

      まれですが、関節外症状を来たし易く、予後不良です)



      * 血小板;炎症活動性が高くなると上昇します。薬剤の副作用で減少することがあります。


      * 血清蛋白;アルブミンが減少し、グロブリンが増加します。


      * 血清鉄;減少しますが、総鉄結合能は正常あるいは減少します。


      * トランスアミナーゼ;通常正常範囲内ですが、薬剤の副作用により上昇します。


      * クレアチニン;腎機能障害により上昇します。薬剤の副作用、アミロイドーシスなどの合併で上昇します。


      * アルカルホスファターゼ;炎症活動性に相関し上昇する事があります。肝機能異常でも上昇します。


      * 尿検査;RAによる腎病変は初期ではまれな事が多く、腎機能は正常な事が多いが、RAの罹患期間が長くな

      ると腎機能障害が起こる例もあります。 蛋白尿がみられた場合は、薬剤の副作用や、続発性アミロイドーシス

      が疑われます。血尿は薬剤の副作用で、IgA腎症が疑われます。



      * MRA(malignant rheumatoid arthritis);悪性関節リウマチ



















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