薬剤性腸炎・症状・痛み・病気

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薬剤性腸炎・症状/痛みと病気




     
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薬剤性腸炎・症状/痛みと病気



     
薬剤性腸炎/下腹部全般/下腹部/痛みと病気




薬剤性腸炎は薬剤が原因で引き起こされ

る腸炎を指しますが、 多くの場合は抗生

物質が原因で引き起こされる大腸炎を指

す事が多い。近年我が国で取り沙汰され

るMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)

の異常繁殖に伴なう腸炎や、偽膜性大腸

炎、出血性大腸炎などがあります。




      
§1  薬剤性腸炎(痛み・病気)の症状/薬剤性腸炎/下腹部全般/下腹部/痛みと病気



MRSA腸炎急激な発熱(38〜40℃の間欠

熱)・ 激しい下痢(白色下痢便、米のとぎ汁

様)を起こし、腹痛、嘔吐を伴なう事も多い


発熱は悪寒戦慄を伴なう。発症は術後2〜

5日程度で早期に発症するケースが多い。




偽膜性大腸炎発熱(微熱、殆ど38℃を超

えない)・下痢(水様性下痢を殆どのケース

に確認できる)・腹痛(下腹部鈍痛が中心で

持続します。)が主症状
で、残便感を伴ない

、緩やかに発症します。 腹部膨満感も確認

されます。



出血性大腸炎急性腹症として急激に発症する大腸炎で腹痛(みぞおちから左腹部を中心にした疝

痛)・ 下痢・血便(トマトケチャップ様血便)が主症状
です。 通常、発熱を伴ないません。








      
§2  薬剤性腸炎とは/薬剤性腸炎/下腹部全般/下腹部/痛みと病気


        薬剤性腸炎は殆どは抗生物質を原因とする薬剤により引き起こされる腸炎ですが、抗生物質以外にも、

        消炎鎮痛薬、カリウム製剤、経口避妊薬、抗癌剤、ジギタリス製剤 などの副作用によっても引き起こさ

        れる事があります。欧米では偽膜性大腸炎が多く、日本では出血性大腸炎の方が多い。近年では耐性

        菌の出現により、小腸を中心とした偽膜を形成する腸炎が問題になってきております。






        
MRSA腸炎;MRSA腸炎はMRSA(methicillin-resistant staphylococcus aureus)の異常繁殖により大量産

        生される毒素が原因で、偽膜が形成され、腸炎を引き起こします。症状の進行が急激で、治療が遅滞する

        と死亡するリスクがあり、早急な対応が必要になります。殆どの腸炎が上部消化管の手術後に確認されま

        す。(消化器手術症例中の1〜2%)治療の遅れる事により重症化し、死亡することがある。



        
偽膜性大腸炎;偽膜性大腸炎は重篤な基礎疾患をもつ場合や、高齢者に発症するケースが多く、治療が

        遅滞すると死亡するリスクがある。 偽膜性大腸炎は腸管に偽膜を形成し、それに伴なって発生する大腸

        炎です。クリストリジウム・ディフィシル菌(clostridium difficile)の異常繁殖により大量に産生される毒素

        が原因ですが、それ以前は黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus)が原因菌として問題になっておりま

        した。難治性で死亡することもあります。



        
出血性大腸炎;出血性大腸炎は突発的に発症する急性大腸炎で、薬剤の投与を引金にして発現してきま

        す。 発症部位の多くは横行結腸が中心の限局した出血性の大腸炎ですが、中には全大腸性に発症する

        ケースもあります。 我が国で下部消化管の出血原因として比較的高頻度に確認されます。抗生物質の投

        与を中止し、対症療法で軽快し、腸管の場合には完全に治癒する。





      
§3  薬剤性腸炎の治療/薬剤性腸炎/下腹部全般/下腹部/痛みと病気


        MRSA腸炎
MRSAは耐性菌であり、感受性のある抗生物質の投与が必要になります。腸管内のMRSAに

        は塩酸バンコマイシンの経口投与、全身感染の場合には硫酸アルベカシン、塩酸バンコマイシン注射薬、

        テイコプラニンの経静脈投与の併用などが選択されますが、全身の状態を管理しながら行われます。




        偽膜性大腸炎
軽症では原因薬剤を中止するだけで軽快する場合もあります。原因となる薬剤を早急に

        中止し、腸管を安静(経口摂取制限・軽症〜中等症では流動食や経管栄養剤の経口摂取で腸内細菌叢

        の構成菌を体内に取り入れる事や、腸内細菌叢早期安定化のために乳酸菌製剤などを摂取する事もあ

        ります。)にし、輸液(水分、電解質の補給)、塩酸バンコマイシン(1〜2週間経口投与)の投与やメトロニ

        ダゾールを投与する事もあります。重症例では塩酸バンコマイシン注射薬の経静脈投与も選択されます。




        出血性大腸炎
抗生物質投与開始1週間以内に発症する事が多く、投与中止後相当の期間が経過してか

        ら発症する事例もあります。発症は経口投与の方が非経口投与よりも事例が多い。投与している抗生物質

        を中止し、絶食して腸管を安静にし、輸液により失われた水分、電解質を補給する。 腹痛下痢が軽快すれ

        ば、通常の治療(経口摂取)を再開しても良いとされる。








      §4  薬剤性腸炎の検査/薬剤性腸炎/下腹部全般/下腹部/痛みと病気





        
関連検査値

        
偽膜性大腸炎  クロストリジウム・ディフィシル検出、トキシンA証明(実際にはクロストリジウム・ディフィ

        シルの産生する酵素を検出している)


        
出血性大腸炎  CRP上昇、赤血球沈降速度促進(炎症の強さは出血量と炎症反応)





      
§5  薬剤性腸炎のリスクファクター/薬剤性腸炎/下腹部全般/下腹部/痛みと病気



        
MRSA腸炎;鼻腔や咽頭に定着したMRSAが嚥下により胃に侵入します。一方、胃の切除やH2受容体拮

        抗薬の投与で MRSAは生き延びて小腸に達する事になりますと、 (腸管麻痺による腸管内容の鬱滞や、

        抗生物質の投与がその繁殖環境を与え、)毒素を産生することになり、下痢を来たしたり、腸管内で繁殖

        した細菌は門脈血中に入り、全身に及ぶ事になります。



        偽膜性大腸炎;クロストリジウム・ディフィシルは日本人の健常人の20〜30%(検便)にいます。このクロ

        ストリジウム・ディフィシルはエンテロトキシンとサイトトキシンをほぼ同量産生し、トキシンAが偽膜形成に

        関わると考えられております。 通常は常在細菌叢がクロストリジウム・ディフィシルの繁殖を抑制しており

        ます。ところが、この常在細菌叢を抗生物質の投与などで乱してしまいますと、一気に増殖してしまう事が

        あります(10×2乗cfu/g→10×5乗cfu/g以上に)。これにより毒素を産生し偽膜を形成する原因となってお

        ります。 近年ではセフェム系抗生物質が代替投与されるようになってきておりますが、これが今度は儀膜

        性大腸炎の起炎薬剤として増加してきております。



        
出血性大腸炎;合成ペニシリン投与後に発症する事が多い。原因は不明ですが、抗生物質の投与による

        菌抗体現象や、アレルギー反応が推定されております。また、虚血性大腸炎と類似しており、これから毛

        細血管の攣縮により生ずる、虚血性の変化があるのではないかとの可能性も考えられております。源疾

        患として感冒や上気道炎などの軽症の疾患が指摘されております。






      
§6  類似疾患/薬剤性腸炎/下腹部全般/下腹部/痛みと病気



        MRSA腸炎
検便でMRSAが検出されたなら、これが定着菌か感染症起炎菌かの見極めが重要です(

        頭、喀痰、鼻腔内のMRSA存在の有無の確認もします)
が、この鑑別が困難な場合があります。これらに

        は全身状態を考慮した治療がなされる事になります。




        偽膜性大腸炎
偽膜の形成は虚血性大腸炎や潰瘍性大腸炎でもありうるが、これらの場合には糜爛や発

        赤の一部だけが偽膜を形成する程度です。




        出血性大腸炎
患者の抗生物質投与歴、病変罹患部位、検便などで虚血性大腸炎、感染性腸炎などと鑑

        別をしますが、鑑別が困難な場合も少なく有りません。 しかし、虚血性大腸炎はS字結腸や下行結腸に多

        発しますし、感染性腸炎では、横行結腸に限局するケースは少ないので、それが判断材料になります。














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