骨腫瘍・症状・痛み・病気

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骨腫瘍・症状/痛みと病気




     
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骨腫瘍・症状/痛みと病気



     
骨腫瘍/手脚関節部/手脚部/痛みと病気



     
§1  骨腫瘍(痛み・病気)の症状/骨腫瘍/手脚関節部/手脚部/痛みと病気


       膝関節の周辺に発生し易いのが骨腫瘍です。片方の関節が痛く、外傷も無い場合には注意が必要になりま

       す。骨に発生する悪性腫瘍は様々な臓器に転移するために、発見が遅れると命に関わります。骨腫瘍の中

       でも最も多発する骨肉腫は初期症状としては、
跳んだりはねたりすると、膝に痛みを感じたり、ボールを投げ

       ると肩が痛くなる
などの疼痛が、始まりです。この痛みは安静にする事により、治まってきますので、運動に

       よる無理が原因のように思ってしまいがちです。しかしこの
痛みがだんだん強く感じるようになり、安静にして

       いても痛みはとれず、患部が腫れてきたりします


進行しますと、関節は動き難くなってきますし、

皮膚の赤み、静脈の拡張、 熱感も感じる
こと

があります。 膝や肩が痛くなる病気は沢山あ

ります。 疼痛が必ずしも骨肉腫とは限りませ

んが、疼痛が次第に強くなるようならば、芳し

くありませんから、専門医に早急に受診する

事が必要になります。


       骨肉種運動時に痛んだり、患部の腫れで気づく事が多い局所の熱感や圧痛を自覚する事もあります

       
進行しますと安静時でも痛む自発痛を自覚する事もあります。関節周囲部に好発するため、関節の可動

       制限を感じる事もあります



       
ユーイング肉腫局所の痛みや腫れが初発の症状の事が多い痛み、腫れ以外に発熱も確認されることが

       あります。
全身症状(発熱・白血球の増加・赤沈の亢進・C反応性蛋白の上昇など)を伴う特徴があります


       
軟骨肉腫は発育は穏やかで無痛性の事もあり、シコリを触れる事で分かる事があります局所の疼痛を引

       き起こす事もあります
痛みのほか、腫瘤が出来ることもあります。疼痛が増悪する場合には、骨折や滑液

       包炎などと共に、悪性化による軟骨肉腫の可能性も考えなければなりません。


       
悪性線維性組織球腫(MFH)病的な骨折から、発覚する事もあります。(そもそも折れるはずのない様な弱

       い衝撃で骨折してしまいます。) あるいは、
運動時の痛みや患部の腫れで気づく事も多くあります局所の熱

       感や圧痛がある事もある
。進行しますと安静時でも痛む自発痛を自覚する事もあります






     
§2  骨腫瘍とは/骨腫瘍/手脚関節部/手脚部/痛みと病気


       骨腫瘍には良性の骨腫瘍と悪性の骨腫瘍があります。これは骨に生じる腫瘍の総称で、骨の腫瘍類似疾

       患、続発性骨腫瘍も含まれます。 そのうち、悪性骨腫瘍には骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、悪性線

       維性組織球腫など種々有りますが、これらは他臓器に転移する可能性もあります。
悪性骨腫瘍は比較的

       性質のおとなしい腫瘍から、極めてたちの悪い腫瘍まであり、中には早期に肺や他の骨に転移をして、命

       に関わるものまであります。

各悪性腫瘍の発生頻度は下表に示す通

りですが、 夫々好発年齢も異なります。

骨肉腫と ユーイング肉腫の好発年齢は

10〜19歳に夫々の腫瘍の発生率で50

%を越える発生頻度を示しており、 軟骨

肉腫と悪性線維性球腫は、年齢を追うご

とに、漸増しており、軟骨肉腫は40〜49

歳、悪性線維性組織球腫は50〜59歳を

ピークにしております。(ピークは20%程度)





     
§2−1 悪性骨腫瘍の部位別発生頻度/骨腫瘍/手脚関節部/手脚部/痛みと病気






ユーイング肉腫 骨肉腫 軟骨肉腫 悪性線維性組織球腫
上腕骨 08.5% 08.4% 09.0% 05.5%
肩甲骨 07.9% 06.1%
脊椎骨 06.6%
肋骨 05.0%
骨盤 22.0% 04.0% 22.3% 07.9%
大腿骨 15.7% 52.1% 21.9% 46.7%
頸骨 08.5% 21.8% 07.3% 18.6%
腓骨 05.2% 05.0% 02.2%
仙骨 02.8%
手骨 02.4%
その他 25.6% 08.7% 21.0% 21.3%












     
§3 骨腫瘍の検査/骨腫瘍/手脚関節部/手脚部/痛みと病気


       画像診断としてX線検査、CT、MRI、血管造影検査、骨シンチグラフィー、血液生化学検査などがありま

       す。画像診断で確定できない場合には病理組織学的検査が行われます。腫瘍組織の一部を採取し、顕

       微鏡で診断します。腫瘍診断には性別、年齢、発生部位、症状、画像所見、病理組織像などを総合して

       診断します。 骨腫瘍には様々なタイプがあり、 生検による病理診断は難しく、難渋する場合があります。

       臨床情報や、所見、資料の他に病理医と整形外科医の連繋は極めて重要になります。

ユーイング肉腫 骨肉腫 軟骨肉腫 悪性線維性組織球腫
CRP(C反応性蛋白)の上昇・発熱・白血球数の増加・赤沈亢進 ALPの上昇を認める事が多い 耐糖能異常
単純X線 単純X線 単純X線 単純X線
MRI MRI MRI
CT CT
血管造影検査
核医学的検査
骨髄炎・好酸球性肉芽腫・悪性リンパ腫などとの鑑別が重要、病理学的には神経外胚葉性腫瘍・小細胞型骨肉腫・神経芽細胞腫・小細胞未分化癌の骨転移などとの鑑別が必要 骨髄炎・骨巨細胞腫・ユーイング肉腫・軟骨肉腫・悪性線維性組織球腫との鑑別 軟骨肉腫と骨肉腫では治療方針は大きく異なるため、この鑑別は極めて重要です。わずかでも腫瘍が直接的に骨or類骨を形成していれば、軟骨芽細胞型骨肉腫に分類されます。良性軟骨腫瘍(内軟骨腫・骨軟骨腫)との鑑別が重要、特に境界型 悪性線維性組織球腫は悪性度の高い腫瘍です。組織像では鑑別が難しい。線維芽細胞型骨肉腫との鑑別は腫瘍の全切片を調べ、腫瘍性骨形成か類骨形成があるかを慎重に検索する必要があります。(その他の鑑別



       関連検査値、関連検査


       単純X線1;境界不明瞭な溶骨像が骨幹部に認められ、浸潤性の虫食い像が確認できます。また、タマネギ

       皮様陰影といった骨膜反応が認められる事も多い。


       MRI1局所の腫瘍の浸潤を捉えるのに有効な方法です。ユーイング肉腫では、骨破壊の割には軟部腫瘍塊

       は比較的大きい。
病変の広がりはT1強調画像で捉えられますが、浸潤性に発育するために切除範囲を特定

       する事が難しいとされます。





       ALP2
ALPは骨芽細胞に存在しますが、造骨性の腫瘍で上昇します。骨肉腫の病勢と相関を示し、治療の

       効果を把握するために用いられております。

       単純X線2;骨幹端部に境界が不明瞭に映る骨破壊像や骨硬化像が認められます。 骨外に進展しますと、

       骨膜反応(骨膜は比較的強度があるため、腫瘍が骨外に進展しますと、それに伴ない、骨膜が持ち上げら

       れ、肥厚します。比較的穏やかな場合には、陰影はタマネギ皮様陰影となり、悪性腫瘍の様に急激な場合

       には、骨膜が破断し、コッドマン三角やスピクラ形成といった形態をとります。)が認められる様になります。


       
MRI2;局所の腫瘍の浸潤を捉えるのに有効な方法です。腫瘍以外にも骨化部、壊死部、出血部などでも反

       応しますので、強調画像の高信号は混在している場合が多い。骨腫内病変の広がりに付いては、T1強調画

       像で捉え、周囲への病変の広がりに付いては、T2強調画像が有効とされております。


       
CT2;局所の石灰化・骨化を捉えるのに有効です。肺転移巣の検査には最も威力を発揮します。(5oの肺

       転移巣を捉えます)


       
血管造影検査2;腫瘍濃染像や血液貯留像、動静脈シャントなどが認める事が出来ます。腫瘍の生死を反

       映するために、治療の効果が認められるのか否かの判定に用いる事ができます。


       核医学的検査2;骨スキャン・腫瘍スキャン(腫瘍細胞の増殖能も反映する/治療効果の判定にも有効)が行

       われます。


       
単純X線3;石灰化像(真綿状or斑点状)を呈する事が多い。腫瘍はカリフラワー状に発育する特徴があります。


       
MRI3;石灰化部での信号は低信号です。ガドリニウム造影像でも腫瘍は殆ど造影されません。軟骨成分を

       反映するT2強調画像は際立って高信号を示します。


       
CT3;局所石灰化を捉えるのに有効です。


       
単純X線4;境界不明瞭な溶解性の骨破壊像が認められます。骨の膨らみや殆ど無く、有っても軽度で、骨

       膜反応は乏しい特徴があります。


       
悪性線維性組織球腫のその他の鑑別;骨線維肉腫・線維芽細胞型骨肉腫・悪性リンパ腫・転移性腫瘍・非

       骨化性線維腫・骨巨細胞腫など







     
§4  骨腫瘍の療法
/骨腫瘍/手脚関節部/手脚部/痛みと病気


ユーイング肉腫 骨肉腫 軟骨肉腫 悪性線維性組織球腫
生検で確定診断 生検で骨肉腫の診断
術前化学療法 術前化学療法 化学療法 化学療法
抗癌剤の動脈投与
放射線療法 放射線療法
手術療法 手術療法 手術療法
術後化学療法
他の小円形細胞肉腫同様抗癌剤や放射線の感受性が高い。 軟骨肉腫は化学療法や放射線療法の感受性は低く、原則手術療法が適応となります。
       


       
ユーイング肉腫化学療法イホスファミドシスプラチンアドリアマイシンシクロホスファミド、アクチノマイ

       シンD、ブレオマイシンの併用療法


       
ユーイング肉腫放射線療法;感受性が高い


       
ユーイング肉腫手術療法;基本的には広範切除以上とされる切除をします。再建には腫瘍用プロステーシ

       ス(人工関節/腫瘍切除後の骨欠損部を補填する)を用いる事もありますが、若年者に多いユーイング肉腫

       の場合は、 自家骨で恒久的な再建を考慮し、血管柄付き骨移植(腓骨or腸骨の移植/動静脈を吻合する)

       や骨延長術(骨欠損を補填する。骨切りを行い、1mm/日ずつ延長をし、元の骨の太さと強度を持つ、生きて

       いる骨を再生する。)などが選択される場合もあります。



       
骨肉腫化学療法シスプラチンアドリアマイシンの併用療法、メトトレキサート大量療法、イホスファミド

       量療法


       骨肉腫放射線療法;放射線感受性は低いので、用いられても補助的な治療法に留まります。


       骨肉腫手術療法;基本的には広範切除以上とされる切除をしますが、近年では化学療法の奏功が認められ

       る症例に対しては、辺縁切除術を試みる方向性も模索されております。骨の再建は人工材料、自家骨、同種

       骨などが用いられておりますが、 これも近年では固定器を用いた骨延長術で自家骨の新生による恒久的な

       再建も選択されております。


       骨肉腫術後化学療法;切除標本の組織学的効果の判定「生きている腫瘍細胞の残存率が全体の100〜50

       %→grade0(無効)・50〜10%→grade1(軽度有効)・10%以下→grade2(有効)・全く認めない→grade3(著

       効)」を行い、術前の抗癌剤の効果確認を行い、効果が低いと判定されれば、抗癌剤を変更して化学療法を

       行います。


       
軟骨肉腫化学療法;悪性度の低い低分化型軟骨肉腫や脱分化型軟骨肉腫では化学療法が選択される場合

       があります。


       
軟骨肉腫手術療法;骨盤部に発生する軟骨肉腫の場合には、発見が遅れるため巨大化している場合が多く、

       その様なケースでは、広範切除以上の切除範囲を確保する事が難しく、切除後の再建も困難になる事が多

       い。多くの場合、人工材料や自家処理骨などでの再建を目指す事が多いが、耐久性や感染に対する抵抗性

       などの問題もあり、 再建をしない場合もあります。その様な場合でも、補助具(松葉杖)などでの自力歩行は

       可能です。


       
悪性線維性組織球腫化学療法;化学療法の効果は一定の評価を得ておりませんが、通常の骨肉種に準じた

       化学療法が選択されております。







     §5  骨腫瘍のその他情報/骨腫瘍/手脚関節部/手脚部/痛みと病気


        
ユーイング肉腫 骨肉腫 軟骨肉腫 悪性線維性組織球腫
遠隔転移 遠隔転移 局所再発 遠隔転移
抗癌剤副作用
予後 予後 予後 予後
好発年齢は5〜20歳代で高齢者には少ない。好発部位は長管骨骨幹部(大腿骨・脛骨・上腕骨など)や骨盤・脊髄にも発生する。全身播種傾向がある。 好発年齢は10歳代で、男性にやや多い。長管骨骨端部に多発(大腿骨遠位部・脛骨近位部・上腕骨近位部など) 中高齢者に好発、男性に多い。長管骨(骨幹端部・骨端部)に多く、骨盤・大腿骨・上腕骨・肋骨部なども好発部位です。続発性軟骨肉腫では良性の骨腫瘍から発生するものがあり、骨軟骨種では、多発性の症例や軟骨帽の厚さが3cm以上のものが悪性化する事がある。 発症は幅広い年齢層になりますが、中高年の男性に多く好発する傾向があります。発症部位もあらゆる部位に確認されますが、長管骨(大腿骨・脛骨・上腕骨など)に多い。
亜型grade骨盤部



        ユーイング肉腫予後;抗癌剤や放射線に感受性が高いが、5年生存率は30〜50%程度です。これは他

        の骨原発性小円形細胞肉腫(悪性リンパ腫・骨髄腫など)の様に全身性の疾患のためと考えられておりま

        す。化学療法の有効性が予後を左右するとされています。


        
ユーイング肉腫遠隔転移;初診時より遠隔転移をしているケースが多く、抗癌剤や放射線療法施療で、奏

        功していると見える状態でも、再発や遠隔転移をするケースも多々有ります。集学的療法の必要性が高い

        事や、経過観察が慎重にされる、なども理解しておく必要があります。



        骨肉腫遠隔転移;肺転移がもっとも多く患者さんの予後に影響を与えます。肺転移が確認された場合には、

        切除する方が予後が改善する事が確認されている事から、肺転移巣は近年では積極的に切除する方向に

        あります。


        
骨肉腫抗癌剤副作用;悪心、嘔吐、脱毛、汎血球減少症、シスプラチン(急性腎障害、神経障害)、アドリア

        マイシン(心筋障害)、メトトレキサート(腎障害、肺線維症→救済療法ロイコボリン)、イホスファミド(出血性

        膀胱炎→救済療法メスナ)などが有り、尿量を維持し、全身の管理が大切になります。


        
骨肉腫予後;化学療法の進歩と共に、5年生存率は向上している。一時は10〜15%程度であったものも、

        50〜70%、 医療機関によっては90%程度の成績をあげている施設も有りますが、治療初期より肺転移

        が認められる様な症例では、成績は不良です。


        
軟骨肉腫亜型;亜型としては間葉性軟骨肉腫・脱分化型軟骨肉腫・淡明細胞型軟骨肉腫などがあります。


        
軟骨肉腫grade;gradeT(高分化型)、gradeU(中分化型)、gradeV(低分化型)に分類されます。殆どは

        gradeT〜Uに属し、悪性度としてはそれ程高くない傾向にあります。


        
軟骨肉腫骨盤部;骨盤部に軟骨肉腫が発生した場合には、腫瘍が巨大化して、神経症状や膀胱・直腸障

        害症状が出てくるまで気付かない場合も多くあります。


        
軟骨肉腫局所再発;軟骨肉腫は局所再発が多い。(骨盤に好発するために切除縁が確保できない、切除

        範囲に限界があるためと考えられております。) 遠隔転移部位は肺が最も多い。そのため長期に亘る経

        過観察が必要になります。


        
軟骨肉腫予後;軟骨肉腫の場合、5年生存率は50%以上とありますが、実は5年目以降に腫瘍死すると

        いう特徴があります。腫瘍が緩やかに発育する特徴があるため、その結果を反映していると考えられます。

        低分化軟骨肉腫のgradeVは予後も不良です。


        
悪性線維性組織球腫予後;5年生存率は30〜50%程度で、化学療法の有効性も低い。但し、低悪性度

        のMFHや皮下に局在するMFHに付いては予後は良好とされております。


        
悪性線維性組織球腫遠隔転移;肺が最も多い。








        * コッドマン三角;骨から外側に向かって増殖した腫瘍の端に出来る三角形状の陰影を指す。


        
* スピクラ形成;長管骨骨軸と垂直に走る針状陰影を指す。
















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