十二指腸胃潰瘍・症状・痛み・病気

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十二指腸胃潰瘍・症状/痛みと病気




     
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十二指腸潰瘍・症状/痛みと病気



     
十二指腸胃潰瘍/みぞおち部/上腹部/痛みと病気





     
§1  十二指腸胃潰瘍(痛み・病気)の症状/十二指腸胃潰瘍/みぞおち部/上腹部/痛みと病気


       お腹がすくとみぞおちの部分が痛くなる(十二指腸潰瘍、食道炎など)、食後上腹部が痛くなる(胃潰瘍、

       胃炎など)
胸のむかつき、胸焼け、ゲップ、膨満感、嘔吐、吐血、下血、めまい、貧血、食欲不振、体重

       減少など
複数の症状があれば、 胃潰瘍か十二指腸潰瘍という病気を疑う事になります。 これらの症状

       は
胃炎、胆石症、膵炎、胃癌、膵癌などでも確認されます。病気の症状は胸焼け、腹痛、食欲不振、胃

       や腹部に不快感などですが、早めに医師の診察を受けます。十二指腸潰瘍は初めは粘膜のごく表面が

       ただれる程度ですが、ただれが進みますと、粘膜に穴が開いてきます。 さらに進行しますと潰瘍が粘膜

       下層から、筋層にまで達し、穴が深くなります。時には穴を開ける穿孔の原因ということになりかねません。




その結果、胃液や食物が腹腔内に漏出し腹膜炎

など 重篤な病気症状を呈する原因となるものが

あります。穿孔性潰瘍など潰瘍が深ければ痛み

は背中にも広がる
事もあります。 穿孔の痛みは

激痛で七転八倒すると表現されるほど 酷いもの

で、 お腹全体が板の様に固くなってしまう事もあ

ります。 お臍の周辺が痛む場合で、持続する

な場合は十二指腸潰瘍の可能性があります。一

般的には食後3時間程度経過してから痛みが始

まる
とされます。(個人差があります。)


     


     
十二指腸潰瘍関連検査値・基準値

       便潜血便性状ヘリコバクター・ピロリ菌感染診断

     
(血便の色は出血の量や速度、消化管内の通過時間により異なるが、肉眼では一般的に、食道や胃、十二指

     腸など上部消化管の出血ほど黒っぽく、下部に行くほど暗赤色、鮮紅色になる。消化管出血は肉眼では確認で

     きず、便潜血反応で確認できるケースもある。十二指腸潰瘍の場合、タール状の便が多く、立ちくらみ、血圧低

     下、動悸など大量出血に伴う貧血症状が先行して自覚するケースがある。空腹時の上腹部痛や夜間の痛みな

     どには注意が必要になります。)




潰瘍の進行度は活動期、治癒期、瘢痕期

と分けられ、 夫々2段階に分類されており

ます。活動期はA1、A2、治癒期はH1、H2、

瘢痕期はS1、S2です。(崎田・三輪分類)


胃潰瘍の活動期、増悪期は疼痛も強く、炎

症が 漿膜側に及ぶ様な 深い潰瘍ですと、

痛みは強く、持続します。 精神的なストレ

ス、肉体的な過労、 睡眠不足は疼痛を増

強し、安らぎは疼痛を軽減します。 しかし、

高齢者や 非ステロイド抗炎症薬(NSAID)

投与患者の消化性潰瘍では、無症候性

も事も多いため、注意が必要になります。

腹部触診では、圧痛が潰瘍の存在する部位と一致して、訴求します。一般的には胃潰瘍では上腹部正

中線より左側で、十二指腸潰瘍は正中線より右側であり、ともに心窩部に圧痛がある事が多い。





     
§2  十二指腸胃潰瘍とは/胃潰瘍/みぞおち部/上腹部/痛みと病気


       胃や十二指腸は粘膜で保護されています。十二指腸潰瘍は、この粘膜が何らかの理由により、ただれや細

       胞の壊死が生じ、粘膜を欠損し、穴があくなどの異常がおきる事により強力な胃液や消化酵素に晒され、腹

       痛、出血などの病気の症状を起こす事をいいます。 十二指腸潰瘍は胃潰瘍同様、病因としてバランス説

       有名です。 これは攻撃因子と防御因子のバランスを唱えているもので、このバランスが十二指腸潰瘍では、

       攻撃因子優位により起きるとされているものです。 また、十二指腸潰瘍もヘリコバクター・ピロリ菌の関与を

       避けては通れない状況です。 十二指腸潰瘍罹患患者さんのヘリコバクター・ピロリ菌の感染率は90〜95

       %であり、 ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌により消化性潰瘍の再発は抑えられる事も認められております。

       現在では、 ヘリコバクター・ピロリ菌感染は消化性潰瘍の病因として、攻撃因子・防御因子の療法に関与す

       る重要因子と考えられております。



       十二指腸は胃の出口幽門に続くふくらみ(球部)から膵臓や、肝臓からの開口(ファーター乳頭)している下

       行部までの、手の指を十二本並べたほどの長さの消化管です。



       歳をとると、衰え易いのは防御因子(粘液や粘膜の働き)でどちらかというと十二指腸潰瘍という病気は若い

       人に多く見られます。 胃潰瘍も十二指腸潰瘍という病気も日常の対策、対応はほぼ同じです。
十二指腸潰

       瘍は再発し易い特徴があります。 また、穿孔性腹膜炎や狭窄による通過障害などの合併症も起こりやすい

       事も知られております。


       胃・十二指腸潰瘍圧痛点
ボアス圧痛点と小野寺殿部圧痛点は胃・十二

指腸潰瘍で確認される圧痛点です。ボアス圧

痛点は 第10〜12胸椎棘突起の両側に位置

しています。



腹部触診では、圧痛が潰瘍の存在する部位と

一致して、訴求します。一般的には胃潰瘍では

上腹部正中線より左側で、 十二指腸潰瘍は正

中線より右側であり、 ともに心窩部に圧痛があ

る事が多い。




     
§3  十二指腸胃潰瘍の治療/十二指腸胃潰瘍/みぞおち部/上腹部/痛みと病気



       ヘリコバクターピロリ菌は消化性潰瘍の患者の粘膜から沢山見つかる事が報告されています。従来の潰

       瘍治療薬では改善されなかった難治性の潰瘍の一部で、ヘリコバクターピロリ菌の除菌治療で潰瘍の改

       善、治癒も報告されています。






       
手術療法(穿孔や狭窄などの出血のコントロールが出来ない場合)や薬物療法、食餌療法、ストレス解消

       法などがありますが、 癌には潰瘍を伴っているものも数多くあり、生検などの病理診断が重要です。潰瘍

       は軽視できません。 出血、穿孔、狭窄は、消化性潰瘍の主な合併症です。これらの合併症が認められた

       場合には手術適応になります。 腹膜炎などで消化性潰瘍の穿孔の可能性がある場合、緊急手術となりま

       す。近年では腹腔鏡下術など胃切除をする事無く施療可能であり、狭窄では中心静脈栄養で術前管理待

       機手術
の適応となり、 活動期では粘膜浮腫の治療で潰瘍消失・狭窄改善などの好結果を得られる事によ

       り、
手術を免れるケースが殆どになっております。




       
一般療法としては、心身の安静を保ち、合併症さえ認められなければ、食事・嗜好品に注意し、刺激物を避け

       ます。


       
薬物療法は制酸剤、抗ペプシン薬、抗コリン薬、抗ガストリン薬、粘膜麻酔薬、ムスカリン受容体拮抗薬、H2

       受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬等で胃酸分泌抑制をしながら粘膜防御薬剤で胃粘膜を保護します。そ

       の他、潰瘍病巣被覆薬、組織修復促進薬、プロスタグランジン製剤などが用いられます。



       また
ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌などの方法もあります。消化性潰瘍の再発はヘリコバクター・ピロリ菌の

       除菌により、抑えることができる事が分かり、再発を繰り返す消化性潰瘍には除菌が行われます。除菌療法

       後は、潰瘍治癒まで、抗潰瘍薬の投与を続けます。除菌がうまくいかないケースはクラリスロマイシン耐性菌

       によるものです。 従いまして、二次除菌をする場合には当然ながら、クラリスロマイシン製剤を含むレジメで

       は、低い除菌率しか期待出来ません。(ただ、効果のある二次除菌法としてのプロトンポンプインヒビター+A

       MPC+メトロニダゾールなど保険適用されない問題点があります。)その他
、ヘリコバクター・ピロリ陰性の消

       化性潰瘍
も有ります。これらの多くは非ステロイド抗炎症薬(NSAID;nonsteroid anti-inflammatory drug)を服

       用しているケースが多い。 (日本リウマチ財団では、15、5%に開放性の胃潰瘍が認められ、1,9%に開放

       性の十二指腸潰瘍が認められると報告しております。NSAID投与患者では、無症候性の事が多く、胃潰瘍は

       41、3%、十二指腸潰瘍では41、2%が無症状であるとも報告しております。)NSAIDによるものは胃前庭部

       に多発し、潰瘍は浅く不整形としています。この場合の治療は可能であれば、NSAIDの減量や投与の中止を

       試みます。その後、通常の潰瘍治療を行います。 しかし、基礎疾患の性質上これを中止できない場合があり

       ます。 薬物療法としましては、H2受容体拮抗薬やプロトンポンプインヒビターを用いた酸分泌抑制を中心とし

       た治療という事になります。また、プロスタグランジン製剤の投与なども検討されます。



       但し、検査上留意されなければならない問題として、上腹部痛で内視鏡検査を実施した場合に、潰瘍性の

       病変が陥凹型の場合には、早期胃癌との鑑別がとても重要になります。 (医療関係者には、活動期の潰

       瘍では、潰瘍周辺からの生検で、 悪性が認められない場合でも、経過を観察して潰瘍治癒までしっかり

       観察し、悪性との鑑別が確実にされる事が求められております。)
  





       活動性の出血を認める場合や、潰瘍部に露出血管を認める場合には、内視鏡的な止血術を行います。内

       視鏡的止血法としては、局注療法(純エタノール局注療法、高張Na-エピネフリン局注療法)・凝固療法(高

       周波電気止血法、ヒートプローブ凝固法、マイクロウェーブ止血法、レーザー止血法、アルゴンプラズマ凝

       固法)・結紮療法(クリップ止血法)などがあります。内視鏡的な止血療法では、90%以上の止血効果が得

       られます。




       薬の副作用としてはヘリコバクター・ピロリ菌除菌治療では、蕁麻疹、下痢、腹痛、味覚異常などの副作用

       の生じる可能性があり、耐性菌の問題も今後、増加する事も懸念されます。 特に不十分な除菌治療では、

       薬剤耐性を助長する懸念があります。一方、プロトンポンプインヒビターにおける副作用としては、まれでは

       ありますが、アナフィラキシー様症状(呼吸困難、全身紅潮、顔面浮腫、咽頭浮腫、蕁麻疹など)や血液障

       害(顆粒球減少、汎血球減少症)、肝障害など重篤な副作用などが報告されております。H2受容体拮抗薬

       では女性化乳房が認められる事があります。













      
* バランス説十二指腸潰瘍という病気はその球部に出来やすく、攻撃因子の胃酸や、ペプシンの働きの過剰

      で起こる傾向にあります。 (防御因子の粘膜や粘膜血流などとのバランスが崩れる事で起きると考えられてお

      ります。)攻撃因子の分泌が高まると十二指腸潰瘍に、 防御因子が低下すると胃潰瘍になると考えられており

      ます。












       





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