複雑性急性(腎盂)腎炎;何らかの炎症を起こしやすい環境下(尿路結石が原因の尿路障害・カテーテル
留置など)で発現する場合があります。 症状は単純性腎盂腎炎と同様です。適切に対応しませんと、慢
性腎盂腎炎に移行する可能性もあります。
慢性腎盂腎炎;細菌感染により起きますが、慢性化するケースは、治療を妨げる尿路障害や糖尿病など
が背景にあります。 慢性腎盂腎炎の場合には、活動期と非活動期の周期があり、活動期には単純性急
性腎盂腎炎と同様の症状を示します。それが非活動期に入りますと、微熱・倦怠感・弱い腰痛を起こしま
す。但し、炎症が腎臓に広がってしまっている場合には、食欲不振・嘔吐・高血圧などの症状が重複する
場合もあります。もしも、背景に基礎疾患が有る場合には、これらの治療を併行して進める必要性があり
ます。 病気は活動期と非活動期を繰り返して、長期間に亘る可能性があり、治療は慎重に、注意深く継
続しないと、場合により、腎機能不全に陥ってしまう事もあります。
慢性腎盂腎炎などで腎盂や腎杯に強い炎症を起こしますと更に、膿腎症や腎周囲炎などを起こしてしまう
可能性もあります。その他類似の疾患として急性化膿性腎炎があります。
膿腎症;腎臓本体の組織の破壊により、腎臓の一部or全体に膿が溜まって障害を起こします。40℃以上
の高熱・腎部の腫れ、強い鈍痛などを自覚するようになります。尿には膿が混じり、食欲低下、胃腸障害、
貧血を伴なう事もあります。腎機能は著しく低下します。膿腎症は水腎症が進行し、感染症などに罹り易
くなり、腎機能が低下する場合などでも併発する事もあります。(上図も御参考にご覧下さい)
腎周囲炎;腎臓本体の炎症が、更にその周辺にまで及ぶもので、高熱・腎部腫れ・強い鈍痛・腰痛・歩行
困難などが出現します。 腎臓周囲に膿が溜まった状態は腎周囲膿瘍といい、直ちに膿を取り除く必要が
あります。
急性化膿性腎炎;急性化膿性腎炎は膿腎症や腎盂腎炎と類似した症状を呈する疾患で、皮膚などの炎
症が原因となり、 黄色ブドウ球菌などにより血行性に腎臓まで到達し、そこで炎症を起こす血行性感染
によるものです。 これは大方は小さな化膿巣が腎臓内に散在する程度のものですが、中には大きな膿
瘍を形成する場合もあります。尿に膿が混じる事は無く、膿腎症などと同様の治療法になります。 |