肺炎・症状・痛み・病気

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肺炎・症状/痛みと病気




     
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肺炎・症状/痛みと病気



     
肺炎/肺部/胸部/痛みと病気


      
肺炎は肺の末梢、肺胞が炎症を起こす病気です。肺の構造は肺胞腔と間質で構成されており、一般には肺

      胞腔に炎症を起こすものが肺炎、間質に炎症を起こすものは間質性肺炎と称します。 両者に病変が存在す

      るものは肺臓炎と称しております。肺炎は病原微生物による肺の急性・炎症性疾患と定義されております。



     

     
§1  肺炎(痛み・病気)の症状/肺炎/肺部/胸部/痛みと病気


       
胸の痛みがあり、咳が出たり、熱があり、血痰が出る様であれば気管支炎、肺炎を疑う必要があります。肺

       炎は発熱・咳・痰・呼吸困難・チアノーゼなどが主な症状です。気管支炎は発熱、咳、痰、胸痛、呼吸困難な

       どの症状があります。 症状は類似しており、また不安定で、これといった症状の確認できない場合もありま

       す。その症状は感染症による症状と呼吸器系の症状に分けられます。感染症の症状では発熱が必ずといっ

       てよいほどあり、高熱が多い(軽度の発熱もある)。
頭痛・食欲不振・全身倦怠感・筋肉痛・関節痛などが随

       伴症状としてある。高齢の方には、脱水症状が確認される事もあります。一方、呼吸器の症状では
咳(痰を

       伴なう場合と伴なわない場合がある)があり
、痰を伴なわない頑固な咳の場合には、マイコプラズマ肺炎・ク

       ラミジア肺炎が多いとされます。
膿性の痰を伴う時には細菌性の肺炎が多く喀痰検査は重要な検査になり

       ます。
病変が胸膜にまで及ぶ場合には、胸痛が出現します。また、病変が広範囲であれば、呼吸困難にま

       で陥ります
。更に、病原菌が血中に侵入しますと、敗血症に陥る場合があり、感染症状は増強し、ショックを

       来たす事もあります
。(播種性血管内凝固・多臓器不全に伸展する場合もある)




     §2  肺炎(痛み・病気)とは/肺炎/肺部/胸部/痛みと病気


       肺炎という病気は解剖学上は、実質性肺炎(肺胞性肺炎、肺胞内肺炎)、間質性肺炎(肺臓炎)に・病因別

       では感染性肺炎、非感染性肺炎に・発症機序別では嚥下性肺炎、沈下性肺炎、転移性肺炎、医原性肺炎・

       更には老人肺炎、 院外院内肺炎(市中肺炎・院内肺炎)などに分類あるいは語句使用している病気です。

       市中肺炎の原因菌は病原性の強い細菌類と非定型病原微生物などで、その死亡率は5〜8%とされてお

       りますが、院内肺炎の病原菌となるのは、日和見感染の原因菌となり、抗菌薬の効き難いグラム陰性桿菌、

       MRSA、真菌などで、死亡率も30〜60%と高い。


       一般の人が罹り易い病気、市中肺炎は原因菌により定型肺炎と非定型肺炎に分けられます。グラム染色

       すると痰に含まれる細菌が、紫色やオレンジ色に染まりますが、定型肺炎という病気がこれにあたり、肺炎

       の約70%はこのタイプです。 この病気の原因菌は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、嫌気性菌、黄色ブドウ

       球菌、緑膿菌などがあります。一方、非定型肺炎という病気のタイプはグラム染色しても痰が染まらず、細

       菌以外の微生物と考えられ、 マイコプラズマ、クラミジア、インフルエンザなどのウィルスやレジオネラ菌な

       どの細菌で起こります。病気症状も病気の治療法も夫々異なります。



*1 近年の報告でも市中肺炎のうちその4

0%は肺炎球菌であったとありますが、最

近の傾向としまして、抗生物質の効かない

耐性菌が増え、治療が難しくなっており、ワ

クチン接種が急速に広まっている。 癌、心

患、脳血管疾患に次ぎ 日本人の死因の

第四位を占める肺炎は 高齢者で重症化し

やすく死亡者の大半は65歳以上です。

肺炎球菌には80種類以上の型が有りま

すが、 このワクチン接種は23種類に対

応でき、肺炎球菌の80%を予防できます。


しかもその効果は1回の接種で5〜9年間持続します。現在全国自治体で肺炎球菌ワクチンの公費助成

制度が増加しております。貴方のお近くの自治体(市区町村)もどうぞお調べ下さい。




     誤嚥性肺炎という病気/肺炎/肺部/胸部/痛みと病気


     
食べ物や、唾液、胃酸などが気管に入り込んでしまう誤嚥性肺炎という病気は、お年寄りに多く発生する肺炎

     です。加齢により、弁がうまく働かず食べ物を飲み込むときに、気管に入ってしまったり、睡眠中にも唾液や胃

     液が少しずつ気管の方に流れてしまう事により起きる厄介な病気です。 通常むせたり咳で反射的に異物を外

     に吐き出しますが、その反射が弱まっているために肺炎になってしまうものです。お年よりは口腔内の殺菌力

     も低下しているため、口中の細菌が繁殖し易く、それが唾液と共に肺に入ってしまい、肺炎という病気になって

     しまいます。高齢者の肺炎は繰り返し起こりますが、誤嚥が高齢者肺炎に深く関与しているといわれております。

     (インフルエンザと肺炎もご参考にご覧下さい。)



     
* 誤嚥性肺炎の予防;加齢と共に歯の数も減り、あるいは無くなり、筋力や神経も衰え、ものを飲み込む嚥下

     機能も低下します。この事が、食べ物や唾液と一緒に口の中の細菌が誤って、気管から肺に入り、誤嚥性肺

     炎を起こし易くなります。場合によっては、ご本人が気付かないうちに誤嚥している可能性さえあります。薬を

     飲む時むせやすい、 食後咳払いをする事が多いなどを気付かれている場合には、誤嚥の危険信号です。予

     防法は @毎食後、丁寧に歯を磨く(口中が汚れていると細菌が増殖し、睡眠中に唾液を誤嚥する恐れがある

     A入れ歯を含め、歯の悪い人は治療をする Bぶくぶく嗽をする(頬の筋肉が鍛えられる)C歌を歌う(呼吸筋

     力や音程を司る喉頭の筋肉の訓練になる/ 舌の出し入れを繰り返しても良い) この中では、歯磨きの効果が

     高いと推奨されています。(口への刺激は嚥下に関係する脳神経の働きを良くし、歯の無い人もマッサージ用

     の歯ブラシで歯茎をマッサージすると良い)また、食生活もパサパサ、パラパラした乾いたものを避け、顎を上

     げて飲み込まない様にする、小食・偏食・栄養バランスに気を付ける(免疫力に関係)などが大切です。





     
§3  肺炎(痛み・病気)の検査/肺炎/肺部/胸部/痛みと病気


        肺炎という病気の打診

       
診察は患者さんが高熱、咳、痰、胸痛を伴うと肺炎の可能性が疑われますが、その他、この病気の場合は、

       打診ではドスドス、ドンドンなどの健康でない濁音がしますし、 聴診では呼吸音が聞こえない、ブツブツとい

       う水泡のはじけるような音が確認できる病気です。 その他の検査には血液検査をはじめとして、画像検査、

       一般検査などがあります。

      §3−1 画像検査/肺炎/肺部/胸部/痛みと病気


       胸部X線検査では炎症病変部分での異常陰影が確認されます。また、胸部CT検査では小さな病変でも確認

       できます。




      §3−2 一般検査/肺炎/肺部/胸部/痛みと病気


       
肝機能検査(マイコプラズマ肺炎・クラミジア肺炎・レジオネラ肺炎などでは肝機能障害を伴ないやすい)、腎

       機能、尿量、電解質などが病状の重篤度の判断の資料として参照されます。




      §3−3 その他の検査/肺炎/肺部/胸部/痛みと病気


       
病原菌検出法は治療と直接結びつける重要な検査で、喀痰検査は良く知られております。その他の検査材

       料では胸水、気管支鏡により得られた検体(気管支肺胞洗浄液)、血液などを塗抹染色鏡検法、培養法、遺

       伝子診断などで検査確認します。






       


       
(肺炎に関連する検査値・基準値)


       末梢血白血球*CRP陽性、赤沈亢進 (これらは一般的な炎症性検査です。)


       
       喀痰検査の概要


       気管、気管支、肺細胞は健康な人でも普段少量の粘液は分泌されていますが、自覚されることはありませ

       ん。 それが細菌感染、炎症、刺激などで分泌が亢進しますと気管支腺は増殖し、粘液の量が一定量に達

       しますと、とたんに自覚されるようになります。その考えられる原因は下に示されます様に様々です。(また、

       痰にはリゾチーム、免疫グロブリンG、分泌型免疫グロブリンAなどに含まれる抗体を含んでおりまして、感

       染を防ぐ働きを持っています。)

 
喀痰量が多い 急性気管支炎、気管支拡張症、肺結核、肺化膿症、慢性気管支炎、肺胞上皮癌
をはじめとして、物理的な要因(塵埃など)や化学的要因(刺激性のガスなど)が
あります。
粘稠(外観、性状) 急性炎症(咽頭、喉頭、気管、気管支)、慢性気管支炎、気管支喘息など
粘液膿性(外観、性状) 肺結核、気管支拡張症、気管支喘息、気管支炎の回復途上期
膿性(緑黄色) 穿孔性膿胸、気管支喘息、肺結核など細菌感染、肺化膿症
漿液性(外観、性状) 肺結核、気管支炎罹患初期、肺水腫、鬱血性心不全(桃色、泡沫状の場合)
血痰/外観 肺結核、肺癌、肺炎、肺梗塞、肺化膿症、気管支拡張症、その他(口腔、鼻腔、咽頭、喉頭などからの出血混入)
鉄錆色/外観 急性肺炎
グラム陽性球菌 急性呼吸器感染症(葡萄状球菌/スタフィロコッカス、肺炎球菌、レンサ球菌)
グラム陰性棹菌 慢性呼吸器感染症(ヘモフィルス、肺炎棹菌、緑膿菌/シュードモナス)
真菌 肺真菌症(クリプトコッカス、カンジダ、アスペルギルス)
赤血球/顕微鏡 肺結核、肺炎
白血球/顕微鏡 化膿性疾患、様々な呼吸器感染症
上皮細胞/顕微鏡 肺内各部位の炎症
腫瘍細胞/顕微鏡 肺癌(連続3日間、検体検査)
弾性繊維/顕微鏡 肺結核(肺組織破壊)
他、顕微鏡的高出血頻度 肺結核、肺癌、肺化膿症、肺炎、肺梗塞、気管支拡張症
腐敗臭 嫌気性菌による肺化膿症(粘膿性でかつ腐敗臭が強い)
腐敗臭 気管支拡張症(粘膿性であるが悪臭が無いもの)







     
§4  肺炎(痛み・病気)の療法/肺炎/肺部/胸部/痛みと病気



       
基本的には、検査に基づき特定された原因菌に対応する、抗菌薬による化学療法という事になります。原因

       菌が特定できない場合には、 各検査データから最も疑わしい病原菌を推定して、治療薬や治療法が選択さ

       れる事になります。 これら中心となります抗菌化学療法と補助的な療法としまして、発熱に対しては解熱薬、

       鎮咳薬、去痰薬、鎮痛薬などを用い、呼吸不全に対しましては、酸素、人工呼吸対応、炎症反応が著しいケ

       ースなどでは、ステロイド薬などを選択する場合も時にはあります。(免疫抑制薬は、感染症を進行させる恐

       れもあるので、相当な慎重対応になります。)


       又、基礎疾患を持っている場合に、これに対応して基礎疾患を改善したいが、実績的にはかなり困難な対応

       といえます。(近年、顆粒球コロニー刺激因子/G-CSF など改善に向けた動向があります。)












     
* インフルエンザと肺炎 65歳以上の人がインフルエンザに罹ると、4人に1人は肺炎を併発するといわれてお

     ります。 肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌による感染症の 約80%を予防出来ると期待されております。 1回の摂

     取で5年以上の免疫が持続するとされております。




     
* 肺MAC症(肺マック症)をご存知ですか?;中高年の女性に急増している肺MAC症は、しつこい咳や痰が

     続く疾患で、抗生物質が効きにくい上に、菌の住む環境から、繰り返し感染するために完治の難しい疾患とし

     て知られております。肺MAC症は、結核菌の中間の細菌による肺の慢性感染症です。この菌は浴室に棲息

     する菌で、結核菌とは異なり、人から人には感染しません。 欧米では1980年代後半から増加している疾患

     で、日本では近年持病のない中高年女性を中心に急増しております。感染経路は分かっておりませんが、肺

     MAC症の患者さん29人の自宅浴室の水やヌルヌルした汚れを収集調査しました。 その結果、約半数の15

     人の浴室より肺MAC症の原因菌(アビウム菌とイントラセルラーレ菌)を発見した。そのうち7人からは感染し

     ている菌と、自宅の浴室の菌が遺伝子レベルで一致したというもの。浴室内のうち最もこれらの菌の発見場所

     で多かったところは、浴室内のお湯を循環させる「追い炊き口」で、浴槽に溜めた水、浴室の排水口、シャワー

     ヘッドの表面・内側からも菌が発見されております。 この事により、浴室が感染源の可能性が高いという報告

     がされております。菌は乾燥に弱いため、浴室をよく乾燥させるのはお勧めの方法で、浴室を掃除するときは

     マスクをする事も薦めております。(水を浴槽に溜めるのは、少なくとも肺MAC症の患者さんは勧められない

     としております。)



     
* 肺マック症(肺非結核性抗酸菌症);肺マック症に罹患している場合には、一時的に喉や気管が敏感になり、

     咳が出易くなります。 ヒトの肺に感染する抗酸菌には、 結核菌と非結核性抗酸菌の2種類がありますが、非

     結核性抗酸菌は結核菌に比べて感染力や増殖力は弱く、ヒトからヒトへ伝染しません。初期は無症状で血液

     検査でも異常が出ない事が多い。 悪化しますと気管支拡張症を併発して、 咳・痰・血痰などの症状が出現す

     る事もあります。 肺マック症は過労や偏った栄養摂取などの基礎免疫力を低下させる様な事は避けなければ

     なりません。肺マック症にはクラリスロマイシンを主にその他2種類の薬を併用する化学療法が標準です。




     
* 肺炎予防5ヶ条;肺炎予防プロジェクトが専門医、賛同企業などにより発足しました。プロジェクトチームでは

     肺炎予防5ヶ条を発表しています。@インフルエンザや風邪に罹らないA手洗いやうがいB日光浴や適度な運

     動C歯茎も磨くD肺炎球菌ワクチン接種  

     (同時にチームでは肺炎球菌感染症コールセンターを設けております。)










      
* MRSA;methicillin-resistant staphylococcus aureus(メチシリン体性黄色ブドウ球菌)ペニシリン耐性のブド

      ウ球菌に対応する抗生物質として開発されたメチシリンに 耐性を示す黄色ブドウ球菌で、この菌はペニシリン

      系の抗生物質のみならず、殆どの抗菌薬に対して耐性を示す厄介なブドウ球菌です。


      
* SARS;severe acute respiratory syndrome(重症急性呼吸器症候群)ウィルス性新しく発見された感染症

      で病原は新型のコロナウィルスです。このウィルスは、従来のコロナウィルスと遺伝子が相当に異なってお

      り、既存ウィルスが突然変異したものと考えられております。 38℃以上の発熱や、咳・痰・息切れ・呼吸困

      難などの呼吸器症状と消化器症状である下痢も日確定多い。 その他、頭痛・悪寒戦慄・食欲不振・全身倦

      怠感・意識混濁などもあり、 重症例では死亡する率もかなり高い。 潜伏期間2〜10日、発熱・咳で発症し、

      約1週間後に呼吸困難・乾性咳などの肺炎症状が出現。感染経路は咳や喀痰などの気道分泌物による飛

      沫感染が中心と考えられております。



      
* 末梢血白血球;細菌性肺炎で増加し、マイコプラズマ肺炎や結核では原則として増加しない。


      
* G-CSF;granulocyte colony stimulating factor顆粒球コロニー刺激因子はマクロファージや好中球、細菌毒

      素などが産生する、(好中球造血作用に特異的に働く)好中球を増加させる糖蛋白で、 抗癌剤などの使用で

      白血球が減少した様なケースで使用する。



      
* 三大症候問診;@咳(痰を伴なうか/湿性咳嗽・乾性咳嗽)、急性か慢性か、咳の良く出る時間帯)A痰(痰

      の性状と量、急性か慢性か)B呼吸困難(息切れ/程度、発症時期)



      
* 喫煙歴指標;@Blinkman指数=喫煙量(本)×喫煙年数(年)/1〜200:軽度喫煙者 201〜600:中程度喫

      煙者 601〜高度喫煙者  Apack-years=1日に吸う箱数×吸った年数





















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