潰瘍性大腸炎・症状・痛み・病気

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潰瘍性大腸炎・症状/痛みと病気




     
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潰瘍性大腸炎/下腹部全般/下腹部/痛みと病気


      

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜表面に炎症

を起こし、粘膜を侵し、表面が糜爛・潰瘍

を形成します。本来は欧米人に多い疾患

でしたが、日本人に急増しています。20

歳代の 若い人に好発する疾患ですが、

近年では40歳代、 50歳代で発病する

人も増加しております。原因も明確に判

明しておりませんが、 徐々にその発症

のメカニズムは解明されつつあります。

1976年より特定疾患医療給付対象疾

患に指定されております。




      
§1  潰瘍性大腸炎(痛み・病気)の症状/潰瘍性大腸炎/下腹部全般/下腹部/痛みと病気


        
潰瘍性大腸炎により大腸の粘膜に炎症を起こしますと、炎症は.に近い直腸から始まり、口腔側に向か

        い、連続的に広がってきますが、炎症の範囲は大腸を超える事が有りません。(クローン病になりますとこ

        の炎症は消化管の至る所に発症を起こす可能性があります。)その炎症は潰瘍性大腸炎の場合には、ク

        ローン病の様に、粘膜の下の方にまで及ばず、浅い炎症になります。



        潰瘍性大腸炎の場合、
トマトケチャップ様の粘血便と下血が特徴です。最初は便が柔らかくなったり、水っ

        ぽくなり、やがて白い粘膜が混じり、出血性の下痢が起こす様になります
しばしば腹痛を伴なう事があり、

        排便の回数も増えます
。症状が進む重症例ですと、発熱・頻脈・体重減少・だるさ・貧血などの全身症状

        確認される様になります。



あるいは、突然の出血や腹痛を伴なう激し

い下痢を起こすケースもあります。炎症が

強い時期は、下痢・血便・腹痛などの症状

が一ヶ月以上持続する事もあります。この

症状の強い時期と、 自然に治まる寛解と

再燃を繰り返す特徴もあります。また、潰

瘍性大腸炎は、直腸だけが炎症を起こす

直腸炎型、直腸から下行結腸までの左側

大腸炎型、全大腸炎型に分類されます。






      
§2  潰瘍性大腸炎とは/潰瘍性大腸炎/下腹部全般/下腹部/痛みと病気


        
潰瘍性大腸炎という病気の病変部位は、大腸の粘膜と粘膜下組織に限られ、ここに強い浮腫、腺構造の

        破壊、陰窩の膿瘍が確認されます。 病変が筋層にまで侵襲することはまず、ありませんが、粘膜欠損の

        修復、再燃の繰り返しが、粘膜萎縮、粘膜組織の線維増生につながり、筋層短縮、内腔の狭隘化を招来

        して、鉛管状となる萎縮性大腸炎型を引き起こす事もあります。




       
 潰瘍性大腸炎は、罹患期間が長いと大腸癌の発症率が高くなる事が欧米の研究機関から報告されており

        ます。ハイリスクなのは潰瘍性大腸炎罹患が比較的若い年齢で発症し、10年以上経過している場合や、

        腸の炎症が活発な、活動期の期間が長期に及ぶ場合などです。炎症を抑え、寛解状態を長く保つ事は非

        常に重要になります。



        

右は各国の潰瘍性大腸炎の10万人当た

りの年間新規登録患者数です。調査粘度

は括弧内に示されております。 潰瘍性大

腸炎は、従来は日本人には珍しいと言わ

れる病気でしたが、近年では、炎症性腸

疾患の発生が多いデンマーク・ウエール

ズ・オランダの潰瘍性大腸炎患者発生率

と並ぶほどの 発生率になっております。

厚生労働省の集計では、 1975年には

1000人に満たなかった患者数は、100

倍に増加したとする報告があります。
デンマーク  7.5人(1964〜1983)
ウエールズ  7.2人(1968〜1977)
オランダ  6.8人(1979〜1983)
スウェーデン 10.4人(1965〜1983)
米国 13.6人(1960〜1979)
イングランド 15.1人(1971〜1977)




      
§3  潰瘍性大腸炎の検査/潰瘍性大腸炎/下腹部全般/下腹部/痛みと病気


        
潰瘍性大腸炎の検査は問診では下痢・粘血・血便の有無、腹痛・発熱・体重減少の有無、他の病気の有無

        や、海外渡航歴、放射線歴、抗生物質・消炎鎮痛剤服用の有無などの確認をします。続いて、.周辺の

        目視、直腸診による痔の有無の検査、便を採取し、アメーバ赤痢・サルモネラ腸炎、カンピロバクター腸炎、

        大腸結核、薬剤性腸炎などや、 クローン病・放射線性大腸炎・虚血性大腸炎・腸型ベーチェット病・リンパ

        濾胞増殖症など他の病気との鑑別のための検査をします。 更に、直腸・S字結腸の内視鏡検査で特徴的

        な粘膜の所見があるか、粘膜の内視鏡下生検による確認検査をします。いよいよ潰瘍性大腸炎の疑いが

        濃厚になってきますと、 大腸内視鏡検査や注腸x線検査などで、大腸表面の炎症や潰瘍の有無を確認し

        ます。直腸の広い範囲に炎症や爛れ、潰瘍が確認されれば潰瘍性大腸炎と診断されます。この様に、潰

        瘍性大腸炎では、他の大腸疾患との鑑別が重要になります。 病変はS字結腸、下行結腸、横行結腸、上

        行結腸にまで広がっている事もあります。





       
潰瘍性大腸炎の関連検査値・基準値

       
便性状便潜血赤血球沈降速度


       (血便の色は出血の量や速度、消化管内の通過時間により異なるが、肉眼では一般的に、食道や胃、十二

       指腸など上部消化管の出血ほど黒っぽく、下部に行くほど暗赤色、鮮紅色になる。消化管出血は肉眼では

       確認できず、便潜血反応で確認できるケースもある。潰瘍性大腸炎の場合、一般的には粘液の混じった粘

       血便、下痢便の事が多く、発熱、貧血、腹痛を伴うことが多い。便は固まらずトマトジュース様の下痢便の事

       も多いとされる。)

潰瘍性大腸炎の重症度診断基準
         重 症
排便回数 一日6回以上
顕血便 +++(高度陽性)
発熱 37、5度以上
頻脈 1分間に90以上
貧血 血色素量10g/dl 以下
赤沈 30o/時  以上 
*重症は排便回数、顕血便の条件を満たし更に発熱・頻脈のどちらかを満たし、更に全基準値の4基準を満たす
        軽 症
排便回数 一日4回以下
顕血便 + 〜 -
発熱   -
頻脈   -
貧血   -
赤沈 正常値
*軽症は6基準全部を満たす









      
§4  潰瘍性大腸炎の原因/潰瘍性大腸炎/下腹部全般/下腹部/痛みと病気


        
食生活の欧米化などの環境因子が関連していると考えられております。また、近親者に潰瘍性大腸炎の

        患者がおられる場合には、発症頻度が多い遺伝的要因の関与も示されております。 有力視されているも

        のは、免疫異常です。
免疫機能は消化管の最後の関門、大腸ではそれが特に発達しておりますが、その

        免疫機能に狂いが生じて、自分の腸管を外敵と見なして攻撃をして傷つけるのではないかとする考え方で

        す。(腸管における種々のT細胞の活性化、抗大腸自己抗体の出現など身体に侵入したウィルスなどの外

        敵を排除する免疫機能異常)






      
§5  潰瘍性大腸炎の治療/潰瘍性大腸炎/下腹部全般/下腹部/痛みと病気


        潰瘍性大腸炎は重傷度・罹患範囲に応じた治療を適切に選択する事が大切です。治療の主体は食事療

        法と薬物療法です。潰瘍性大腸炎は原因が明確でなく、完全に治す治療法は確立されておらず、薬物療

        法による、寛解導入治療や食事療法による症状コントロールを目指します。



        
薬物治療では1998年の潰瘍性大腸炎治療指針改定案で薬物の種類とその使用法が明確に示されてお

        ります。軽症・中等症・重症・劇症型と重傷度に即したもので、 寛解状態に導きます。軽症・中等症ではペ

        ンタサ錠(5-ASA)・リンデロン座剤・サラゾピリン座剤(SASP)・ステロネマなどを用い、重症では入院し、プ

        レドニゾロン・アザチオプリン・ペンタサ錠・サラゾピリン・ステロネマ・広域スペクトル抗生物質などを用いま

        す。劇症型では、 入院し、 強力静注療法orプレドニゾロン動注療法・経静脈的栄養補給などを用います。

        寛解が得られれば、薬物の投与量が減らされ、治療時の半量くらいを1年以上、継続服用し、再燃を防ぎ

        ます。


        上記治療で改善が確認されなければ、強力な抗炎症作用や免疫抑制作用を持つ副腎皮質ホルモン薬を

        追加します。免疫抑制薬(シクロスポリン持続静注など)・血液成分除去治療(白血球除去療法)なども専

        門の治療機関で行います。






        
手術の絶対適応例は穿孔、巨大結腸症、大量出血の危険などや、癌を合併している場合です。また、内

        科的治療で寛解が得られない慢性持続型の症例や長期間or頻回に反復する入院治療を要するような症

        例などは、手術を選択するほうが望まれます。手術は大腸の全摘、回腸末端部で糞便を溜めるリザーバ

        ー(パウチ)を設置し.と吻合する手術が標準療法です。手術必要症例は10〜15%程度の割合です。





        
食事療法では食事制限として、何かを食べてはいけないという食品は無いとされますが、脂肪は大腸の蠕

        動運動を活発にして、下痢や腹痛を起こしやすくするとされており、摂り過ぎないようにしなければなりませ

        ん。また、刺激性の食品(香辛料・アルコール・コーヒーなど)も控えめにしたいものです。他方で摂取を薦

        められる食品としましては、炭水化物・蛋白質があげられております。活動期と考えられる時期には発熱や

        下痢により、体力を消耗する期間ですので、例えば、米・麺類・良質蛋白質などが薦められております。


        寛解期には脂肪や香辛料を注意する事以外、通常の食事が可能です。それでも、高脂肪・高蛋白の洋食

        よりも和食のほうが比較的良いとされております。





        
* 活動期;内視鏡検査で、腸内に炎症が確認される。炎症により症状が起こっている状態で、血便が見ら

        れ、大腸粘膜にはただれや潰瘍を認めます。



        
* 寛解期;血便などの症状は無い。内視鏡検査でも腸内に特に以上は見られない。炎症は治まり、血便

        や粘膜の病変が消失している。


















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