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片側胸部 |
良く現れる。乳首の高さに集中する傾向がある。脇から乳首の高さで、肋骨に沿って身体を半周巻くように現れる事が多い。 |
片側額 |
片側胸部の次に良く現れる。額に帯状疱疹が現れるとまぶたが腫れあがり目を開けることが出来なくなる。炎症が激しい場合は疱疹が出来ていない反対側のまぶたまで腫れてあけられなくなる事がある。目の後の静脈が交通しているために炎症を起こす物質が健康なまぶたにも流れていって影響を及ぼすからだと考えられる。健康なまぶたの側は2〜3日で治る。又、まぶたばかりでなく、しばしば眼球にまで炎症が及ぶ。角膜の神経や瞳孔を調節する神経までも障害される可能性がある。目を開けているのが辛くなったり、瞳孔を調節する神経が侵されると動向が開いたままになる(散瞳)。眼球を動かす神経が侵されると複視といってものが二重に見える現象もおきる。が、視神経が帯状疱疹の影響を受ける事はまれとされている。更に、脳に近いためか髄膜炎を併発して激しい頭痛を生じる事がある。 |
顎、口の中 |
頻度は高くないが上あご、下あごが帯状疱疹に侵されると、口の中に水疱が現れて食事は辛く、重症化した場合には歯が抜けてしまう事もある。これは帯状疱疹の炎症が歯や歯茎に酸素や栄養を送る血管にも障害を起こしてしまうためと考えられている。 |
顔面 |
片側の顔面に激痛を来たす疾患は三叉神経痛、帯状疱疹があるが、発病初期は顔面帯状疱疹は三叉神経痛と良く間違えられる。特異的な違いは、痛みの出易い場所と痛みの性質で、三叉神経痛が良く出るのは上下の唇、小鼻の横、歯や歯茎で、その痛みは頬や唇の皮膚に触れた瞬間、痛烈な痛みを感じるが、帯状疱疹は額に現れ、その痛みは何もしなくてもズキン、ズキンと痛み、夜中でも痛みで眼が覚めて一睡も出来なくなったり、額の帯状疱疹は髄膜(脳膜)にまで炎症が及ぶ事があり、激しい頭痛がしたり首筋が凝ったりすることがある。 |
(片側)顔面神経麻痺 |
水疱瘡が終わると一端水痘ウィルスは神経根に潜む。顔の表情筋を動かす指令を与える顔面神経は膝神経節と呼ばれ耳の中に存在する。この膝神経節は水痘ウィルスが好んで住み着く場所で、この水痘ウィルスが再活性化して帯状疱疹を起こすと、炎症を起こした顔面神経は容易に麻痺してしまう。顔面神経麻痺は突然起こる。片側のまぶたが開きっぱなしになったり、唇の片側が垂れてしまったりし、顔面神経は舌の味覚も支配しているので下の半分だけ味覚を失って味もわからなくなる。その他眉毛、口、鼻などが健康側によってしまうなど、その症状は多彩である。顔面神経麻痺の治癒が不完全だと顔のこわばりや引き連れは永久に残る。めまいや耳鳴り、難聴が起こることもある(ハント症候群)。顔面神経麻痺の30〜50%は帯状疱疹ウィルスが関係しているとされる。 |
手足の筋力低下、腹筋麻痺 |
胸や顔面に比べると多くは無いが、手足に現れた場合は皮膚の感覚神経ばかりでなく、しばしば運動神経も侵される筋力の低下が起こる。歩行や作業に支障を来たしてしまうばかりでなく、うまく回復しない場合は関節が固まってしまう(拘縮)事もある。腹部では肋間神経(胸神経)に支配されており脊髄から分かれ、背部から正面に向け胴体を半周する。下腹部では感覚神経が障害されるだけでなく、筋肉を動かす運動神経も侵されるため、腹筋の麻痺を起こす。腹筋が弛緩してしまうと片側のお腹が出っ張ったり、せり出したりしてベルトがきつく感じられる。満腹と違いベルトを緩めてもそれ程楽にならない。 |
喉、声帯 |
舌咽神経に現れると片側の喉の激しい痛みと口内炎を起こすもので、扁桃腺とまちがえられて抗生物質が投与されたりする。重症になると喉の奥の味覚が障害されてビールの味が分からなくなったり、いがらっぽさが続いたりする。片方の声帯の動きが悪くなるため声がかすれる反回神経麻痺の中にも帯状疱疹が原因のものがあるといわれる。 |
全身(汎発性帯状疱疹) |
帯状疱疹は神経の走る方向に沿って現れるが、一部のウィルスは血液の流れに乗って広がり全身の皮膚に軽い水疱瘡のような症状を起こすことがある。これは比較的重症の帯状疱疹に多く見られる。皮膚の水疱はその下の神経の障害を伴う事は無く、患部以外の皮膚に現れた汎発疹は速やかに痕跡を残さず治癒するが、帯状疱疹本体は簡単にはいかない。 |
全身(複発性帯状疱疹) |
帯状疱疹は通常一本の神経に沿って現れるがまれに同時に複数の神経が帯状疱疹に侵される事がある。生命を脅かすものではなく、明確な原因は分からず、治療も通常の帯状疱疹同様に施療される。 |
痛み以外無症状 |
原因不明の痛みとして処理され易いが、重症化しないものが多い。 |
その他 |
@皮膚がただれるほどの水疱が出来てもしびれた感じだけで、痛みの無い場合もあるが、その後1ヶ月以上たってから帯状疱疹神経痛に特有の痛みが出てくる事が多いようだ。これは初期の炎症が強すぎて神経が麻痺し、帯状疱疹の痛みを感じることができないまま帯状疱疹神経痛に移行してしまうためと考えられている。、A慢性疲労のように全身の免疫が撹乱されて微熱や著しい倦怠感、下痢や体調不良が長期にわたって続く事がある。(ウィルス感染後慢性疲労症候群)これは帯状疱疹の後にも起こりうる。 |
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