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胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
急性胆嚢炎は、多くが胆石が胆嚢の出口に詰まり、炎症を起こすもので、胆管炎も多くは胆石が胆管に詰ま
り、滞る胆汁により細菌感染を起こすものです。
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胆道感染症には急性胆嚢炎、慢性胆嚢炎、
胆管炎があります。 胆道感染症は胆石や
癌が胆道閉塞の原因となり、 起こす事が
多い。 |
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§1 胆道感染症(痛み・病気)の症状/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
§1−1 急性胆嚢炎の症状/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
右季肋部(右上腹部)の疝痛発作を特徴とします。発症当初は、通常発熱は有りませんが(あっても微熱程
度)、壊死性胆嚢炎、胆嚢周囲膿瘍などの感染の憎悪を示す病態となってきますと、高熱も認められる様に
なります。
関連検査値・基準値;CRP、GOT、GPT、ALP
§1−2 慢性胆嚢炎の症状/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
右季肋部(右上腹部)、上腹部の反復性疼痛がある、背中に弱い痛みが感じられる、あるいは持続性の鈍痛、
膨満感、違和感、胃もたれなどの不快感や、不定愁訴を訴えたり、明確な圧痛を感じる事は少ないとされる。
§1−3 胆管炎の症状/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
臨床症状として、シャルコーの三徴が典型的な症例です。胆石が乳頭部に嵌れば、悪心・嘔吐を伴なう事の
多い心窩部の疝痛を起こす。
高熱を発し悪寒・戦慄を伴なう。 疝痛発作の間隔は様々であり、一過性の高熱発作が断続する(シャルコー
の間欠熱)事もあります。また、閉塞が持続すれば炎症は肝内に進展して弛張熱、稽留性の高熱を示す。
黄疸は癌による閉塞の場合には、通常、高度の黄疸が認められますが、乳頭部癌では胆石による閉塞と同
様の比較的軽度なことが多い。
疼痛は上腹部圧痛を認めますが、胆嚢炎よりは軽いものです。細胞壁由来の大腸菌、グラム陰性桿菌によ
るエンドトキシン血症・敗血症へ進展してしまいますと、ショック、乏尿、譫妄、意識障害など重篤な全身症状
も出現しかねない。
急性閉塞性化膿性胆管炎は、シャルコーの三徴orレイノルズの五徴が確認され、胆管炎が一週間以上遷延
すると多発性肝膿瘍にも進展しかねない。細菌が血液中に侵入する事によりおきる敗血症、意識障害は重大
な影響を及ぼす事があります。
関連検査値・基準値;CRP・ALP・GOT・GPT・血清ビリルビン・尿ビリルビン
§2 胆道感染症とは/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
§2−1 急性胆嚢炎とは/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
急性胆嚢炎には胆石を合併する胆嚢炎と無石胆嚢炎が有りますが、多くのケースは胆石が原因で起きて
おります。急性胆嚢炎は胆嚢頸部や胆嚢管に胆石が嵌って、胆嚢胆汁の滞りや、胆嚢粘膜から分泌液を
亢進する事により胆嚢が腫れあがります。それにより、胆嚢の壁が伸展し、虚血による循環障害をおこしま
す。その部位へリゾレシチンという滞った胆汁から生じた、酵素から生じた成分や遊離した胆汁酸(タウリン
orグリシンとの胆汁酸塩として肝細胞から胆汁中に排出されますが、このタウリンorグリシンの抱合が解消
すると組織障害性を持つ遊離胆汁酸となります)などの粘膜障害性の物質が作用する事により、急性胆嚢
炎を引き起こすと考えられております。
無石胆嚢炎は冠動脈塞栓術後の虚血性胆嚢炎など、胆嚢動脈障害が原因による循環障害などや、長期
経口的栄養管理で、胆汁の滞りが原因で起きるものなどが代表的なものとして上げられております。
§2−2 慢性胆嚢炎とは/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
慢性胆嚢炎は胆道機能異常、消化管の機能異常、術後障害、あるいは他に炎症性疾患などの多くを包含
する疾患名で、 一般には他疾患の該当除外の結果に診断されるものであるため、いわゆる不定愁訴に立
脚するものとなります。慢性胆嚢炎は急性胆嚢炎の反復による結果のものが多い。胆石が胆嚢頸部嵌頓
などで胆嚢が腫れたまま持続経過して慢性化すると、胆嚢内容が水様となる胆嚢水腫と呼ばれるものとな
り、 炎症の慢性的持続の結果、胆嚢壁にカルシウムが沈着すれば陶器様胆嚢、あるいは膿様となり貯留
すれば、膿瘍蓄膿という特殊な慢性胆嚢炎にもなってしまう事にもなる。近年では、優れた検査機器の普及
により、漠然とした慢性胆嚢炎の病名診断は少なくなってきました。進行すれば胆嚢の萎縮や、やがて胆汁
が機能を果たせなくなる事もあります。
§2−3 胆管炎とは/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
胆管に何らかの原因で、胆汁鬱滞を来たして細菌感染を起こしてしまうと、急性の胆管炎になります。また、
慢性胆管炎も有ります。これは胆管壁が線維化を起こしてしまうもので、原発性硬化性胆管炎という原因不
明の慢性胆管炎もあります。
§3 胆道感染症の治療/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
§3−1 急性胆嚢炎の治療/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
保存的治療、胆嚢ドレナージや胆嚢摘出術などがあります。
保存的治療;断食をし、輸液による補給をし、疼痛対策として抗コリン剤、鎮痛薬の皮下注射・筋注をする。あ
るいは消炎鎮痛薬などの投与で対応し、 抗生物質なども治療・予防目的(大腸菌、グラム陰性桿菌など)で
使用されます。
胆嚢ドレナージ;胆嚢穿刺吸引(単純な胆嚢炎では一回の穿刺で有効な治療が可能とされる)や経皮的ドレ
ナージ(比較的重症例で適応となる)などで対応します。
胆嚢摘出術;胆嚢穿孔などの重大な合併症がなければ、適応となりますが、近年では腹腔鏡下胆嚢摘出術
が開腹胆摘術に変わって、選択されるようになりつつあります。
§3−2 慢性胆嚢炎の治療/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
胆嚢の機能が働いていない廃絶状態であれば、胆嚢摘出術の適応となります。また、食事療法、利胆薬、抗
コリン薬などの食事療法・薬物療法での対症的な療法も選択されます。
§3−3 胆管炎の治療/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
発熱・発汗で水や電解質の消耗を補充するために、充分に輸液を行う。抗生物質と胆汁ドレナージが主要
な治療方法です。重症の胆管炎では、多臓器障害や肝腎症候群による腎障害の併発などの合併症がある。
抗生物質;胆汁培養で把握した起炎菌に感応する、胆汁内排泄高率の良好な抗生物質を用いる。抗生物
質の使用では、腎不全を示す尿量の減少や肝毒性、腎毒性に注意を要する。
胆管ドレナージ(外瘻法・内瘻法);胆管減圧が主要な治療法で、内視鏡的胆汁ドレナージ(軽度でも支障が
無い)、 経皮的胆汁ドレナージ(通常外瘻法)が胆管閉塞部の状態に応じて、適切に選択されます。術後の
急性膵炎や乳頭部出血などの重い合併症には充分配慮される必要がある。経皮的胆汁ドレナージの合併
症では、穿刺による腹腔内出血・胆汁漏出があります。内視鏡的胆汁ドレナージ(ステント留置法/内瘻法
と経鼻ドレナージ法/外瘻法)では乳頭切開に伴なう術後の消化管出血・膵炎の合併などが注意される。
§4 胆道感染症のその他の留意点/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
§4−1 急性胆嚢炎のその他の留意点/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
急性胆嚢炎が感染で化膿性胆嚢炎になりますと、 憎悪すれば壊死性胆嚢炎に移行する事があります。そ
の場合、壊死破綻部から感染胆汁が漏出する事になれば、胆嚢周囲膿瘍・横隔膜下膿瘍や胆嚢穿孔によ
り広範な腹膜炎を引き起こすなど重篤な病態にまで進展してしまう事にもなりかねません。更に、胆石は胆
嚢と接する十二指腸や結腸へ瘻孔から脱落する事も考えられます。
その場合、脱落した胆石により回腸末
端などに嵌り、胆石イレウスを起こす可能性があります。
状態の良くないケースでは、急速な重篤化に注意が必要になります。(体力の無い高齢者、コントロール不
良の糖尿病患者、侵襲の大きな術後患者など)
§4−2 慢性胆嚢炎のその他の留意点/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
特殊な胆嚢炎の陶器様胆嚢など、顕著な例では胆嚢癌の合併があり得ます。慢性胆嚢炎の症状は他の疾
患と鑑別が必要であり、スクリーニングの結果、胆道に絞られてきたならば、小さな胆石、胆嚢腺筋症、胆道
ジスキネジアなどの鑑別を経て、各種の胆道造影や胆汁検査により精査される事になります。
§4−3 胆管炎のその他の留意点/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
急性閉塞性化膿性胆管炎へ至った場合の死亡率は、従来、外科的、緊急手術例で20〜57%程度であった
が、近年の内視鏡的ドレナージ例では10%以下と報告されているとしています。但し、症例の予後は胆管炎
の背景の疾患により様々です。
§4 胆石とは/胆道感染症/上腹部深部/上腹部/痛みと病気
コレステロール胆石(成分分析でコレステロール含有量が70%以上がコレステロール胆石)食生活の変化
により、患者さんの胆汁はコレステロールが過飽和状態になり、この過飽和胆から、コレステロールが胆嚢
内で析出し、核の形成、肉眼的胆石への成長を経て、形成される事になります。
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* 純コレステロール胆石;白色〜黄白色、1cm前後の大きさのもので、コレステロールが主成分
* 混成石;純コレステロール胆石の周囲にビリルビンが固まった茶褐色の外観、中は白い
* 混合石;コレステロールにビリルビンやカルシウムが混ざった黄白色〜茶褐色までの様々な色合いを持つ |
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色素胆石
* ビリルビンカルシウム胆石;胆汁中のビリルビンとカルシウムが結合してできる。1cm以内の大きさで、茶褐
色。 胆道感染(主に大腸菌)が存在すると、細菌性β-グルクロニダーゼにより、胆汁中のビリルビンクロニド
が加水分解され、遊離型ビリルビンとなり、これにカルシウムが結合する事により、ビリルビンカルシウムが析
出します。
* 黒色石;胆汁中のビリルビンと蛋白質が結合してできる。砂状の小さな黒色のもの。近年、非常に増加して
いる。溶血性貧血、肝硬変、心臓弁置換術語の患者によく見られます。
疝痛発作; 脂肪性の食物を食べ、それが十二指腸球部にまで来ると、コレシストキニンが分泌されます。す
るとこの刺激により胆嚢は収縮をします。 (胆汁中の胆汁酸は、食事ごとに胆嚢が収縮する事により、分泌さ
れます。)胆嚢の収縮は脂肪量により異なりますが、収縮が数回起こり、最後の完全収縮の時に胆石が胆嚢
頸部や、胆嚢管に嵌り、疝痛発作を起こします。 疝痛発作が食事直後ではなく、時間がずれ込むのはこのた
めです。この疝痛は、胆石が胆嚢内に戻るか、胆管に排石されなければ消失しません。キリキリと差し込む間
欠的な激痛で、通常30分〜数時間持続します。しかし、そのまま胆石が嵌ったまま持続すれば、胆嚢炎に移
行します。 疼痛はこの頃には持続性鈍痛となり、痛みは右季肋下の圧痛が確認できます。さらに、炎症が腹
膜にまで及べば、筋性防御、反跳痛などの腹膜刺激症候という徴候が認められる様になります。
* CRP;炎症の活動性は、末梢血中の白血球増加やCRPの上昇で判断できる。
* GOT、GPT;急性胆嚢炎/時にトランスミナーゼ(GOT・GPT)などの軽度上昇が確認される。
胆管炎/時にトランスミナーゼ(GOT・GPT)などの軽度上昇が確認される。胆石嵌頓など突然
閉塞などで初期1000U/Lを超える事がある。
* ALP;時に胆道酵素であるアルカリホスファターゼ(ALP)の軽度上昇が確認される。その他、胆汁鬱滞の
指標ではLAP、γ-GTPなどもあります。胆管炎では明らかに上昇する。
* シャルコーの三徴;発熱・黄疸・疼痛
* レイノルズの五徴;発熱・黄疸・疼痛・ショック・意識障害
* 血清ビリルビン;直接型を主体として、一般には胆道酵素とともに上昇する。
* 尿中ビリルビン;血中のビリルビンの上昇に応じて、尿中ビリルビンも陽性となる。
* 外瘻法;胆汁をチューブなどで体外に導く
* 内瘻法;胆管ステントなどにより、腸管への胆汁の排出路(バイパス)を造設するもの。プラスティック製の
チューブステントと金属ステントがあります。
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