腸感染症・症状・痛み・病気

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腸感染症・症状/痛みと病気




     
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腸感染症・症状/痛みと病気



     
腸感染症/下腹部全般/下腹部/痛みと病気


       
腸感染症の原因は様々なものがあります。微生物、細菌、ウィルス、寄生虫など消化管には食物や水と共

       に、様々な病原体が侵入してきます。本来、生体はこれらの異物を排除したり、利用したりしております。と

       ころが、生体を防御する機能が何らかの理由で破綻を来たすなどして〜その全容(メカニズム)は明らかで

       は有りませんが〜 、急性の腸炎などを起こし、発熱や腹痛、嘔吐、下痢などを来たします。 これが腸感染

       症です。




消化管はいわゆる防御システムが働いて

生体を守っております。 消化管運動は物

理的な防御、胃液(強酸)などの化学物質

による化学的防御、 さらによく知られてお

ります免疫機能が働く 防御機能がありま

す。唾液(アミラーゼはIgAという免疫グロ

ブリンが 口腔内の一定の細菌の増殖牽

制)胃酸(強酸により細菌の不活化)消化

管粘液(IgAや補体などが細菌の増殖を防ぐ)

免疫機構(腸管粘膜の組織球、マクロファージ&白血球やリンパ系ネットワークなど)蠕動(腸感染症

での下痢は排菌を促がす)大腸細菌叢(腸内細菌が相互干渉し侵入した有害細菌の繁殖を抑制し安

定した細菌バランスを保つ)などです。 腸感染症はこれらのバリアが何らかの条件により破られて腸

にまでたどりついた病原菌により発症します。




      
§1  腸感染症(痛み・病気)の症状/腸感染症/下腹部全般/下腹部/痛みと病気



サルモネラ;食中毒の病原菌として最も頻

度が高く、 家畜や鶏の腸管に住み着いて

おり、 鶏卵や鶏肉の汚染で体内に侵入し

ます。 ペットを介して感染する例も増加し

ております。潜伏期間は12時間〜2日程

度で、
発熱、嘔吐、下痢、血便などの急性

胃腸症状
が強くでます。


カンピロバクター;特に鶏肉に付着し、少量

の菌でも感染する。 回盲弁に潰瘍を形成

するので有名です 。
発熱・下痢・腹痛・血

便
など
サルモネラに類似するも、それより

軽度。

腸炎ビブリオ;ビブリオの代表はコレラ菌です。主に魚介類に付着している菌で、.海産物から感染

します。日本で多いケースは塩水で生息できる腸炎ビブリオで魚介類の生食が原因です。
腹痛や下痢

が強く現れますが、多くは2〜3日で治ります
。 魚介類を食べて数時間から1日以内に発症するケース

が殆どです。


病原性大腸菌;O-157が代表的な菌です。大腸菌は家畜や人の大腸に住み着いて消化を助けます。

病原性大腸菌は腸出血性大腸菌・腸病原性大腸菌・腸毒性大腸菌・腸侵入性大腸菌に分類され中で

も腸出血性大腸菌はベロ毒素を産生して、溶血性尿毒症性症候群を来たして溶血・腎不全を合併して

死亡する事もあります。O-157では
激しい腹痛と水様性の下痢を起こし、次第に血便が混じる様になり

ます



ノロウィルス;生牡蠣などから感染します。嘔吐・腹痛・下痢などを起こします。便を介して人から人に感

染する事もあります。


その他にも黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌、ボツリヌス菌、セレウス菌などの原因菌があります。








      
§2  腸感染症とは/腸感染症/下腹部全般/下腹部/痛みと病気


        消化管の感染症には細菌とウィルス、原虫に大きく分けられます。腸感染症の多くを占める食中毒には、

        病原体としてサルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、ノロウィルスなど多くのものが

        あります。 国立感染症研究所の報告(1998〜1999 )順位別細菌感染報告では、1位/腸出血性大腸

        菌(1,895件)  2位/サルモネラO7(1,693件) 3位/腸炎ビブリオ(1,154) 4位/カンピロバクター腸炎/(698

        件) 5位腸病原性大腸菌/(438件) 6位/サルモネラO4/(399件) 腸毒性大腸菌/(314件)などとなってお

        ります。厚生労働省発表(2005)の病因物質別食中毒発生状況ではノロウィルス(8,727件) サルモネラ

        菌(3,700件)  カンピロバクター(3,439件)  ウエルシュ菌(2,643件)  腸炎ビブリオ(2,301件) ブドウ球菌

        (1,948件) セレウス菌(324件) 出血性大腸菌(105件)などと報告されております。


        消化管の感染症は一類から四類まで定められております。食中毒の病原体などは四類に分類されており

        ます。


       
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症新法)に定められた消化管感染症の一覧

一類感染症 入院
消毒などの対物措置(例外的に建物への措置、通行制限などの措置も適用対象とする)
ペスト
二類感染症 入院
消毒などの対物措置
これら、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフス
三類感染症 特定職種への就業制限
消毒などの対物措置
腸管出血性大腸菌感染症
四類感染症 感染症発生状況の収集、分析とその結果の公開、提供
アメーバ赤痢、ジアルディア症、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、
感染性胃腸炎(カンピロバクター属、サルモネラ属、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ、赤痢菌、
エルシニア属、ロタウィルスなど)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌




      
原因微生物と腸炎分類

細菌性腸炎 細菌あるいは細菌によって産生される毒素により汚染された水や食品の摂取により発症する食中毒
 感染型食中毒
 サルモネラ腸炎 初発症状/悪心・嘔吐 腹痛・水様性下痢が持続 38〜40℃の発熱頻度が高い 血便3割 他の食中毒より症状が強く経過も長い 感染源/肉類・レバさし・鶏卵・ペット(ミドリガメなど)
 腸炎ビブリオ腸炎 水様性下痢・腹痛・発熱・血便5割 数日で症状軽快 高水温で繁殖 感染源/生鮮魚介類摂取・刺身・寿司 冬季は殆ど発症しない 
 カンピロバクター腸炎 初発症状/下痢・嘔吐・腹痛・血便・発熱 水様性下痢・血便の頻度が高い 感染源/調理不十分の鶏肉の摂取・鶏さし・レバさし 
 腸管出血性大腸菌o-157 初発症状/下痢 翌日頃鮮血を伴なう血性下痢・腹痛激しく、発熱軽度 産生されるベロ毒素は生体の微小循環障害・神経細胞障害を起こし、5〜7日後に溶血性尿毒症症候群や脳症の可能性
 毒素型食中毒
 ブドウ球菌 悪心・嘔吐・腹痛・水様性下痢で発熱はみられない 潜伏/2〜5時間 感染源/乳製品・おにぎり・和洋菓子
 ボツリヌス菌 三主徴/麻痺障害・分泌障害・眼症状 下痢などの消化器症状は少ないが死亡率が高い 感染源/感ず眼製品(果物・キャビアなど)・真空パック製品(ソーセージ、からし蓮根など)毒素が腸管から吸収される 
伝染性腸炎 二類感染症に分類され、症状に応じて第二種感染症指定医療機関への入院が義務付けられた。
 コレラ 主症状/水様性下痢・嘔吐 軽度下痢で経過する事も多い 大量の米のとぎ汁様水様便と嘔吐で水分喪失が激しい 急性循環不全・腎不全に陥る事もある 腹痛少なく・発熱は無い 東南アジア・インドでの汚染水、食品注意
 腸チフス 初発症状/39〜40℃以上の高熱 脈拍100回/分以下の比較的徐脈と下痢 発症1週間くらいで胸腹部バラ疹(数日で消失) 解熱後1週間くらいで腸出血や腸穿孔など重篤合併症を確認する事もある 東南アジア注意
 細菌性赤痢 水様性下痢・腹痛・テネスムス・嘔吐・全身倦怠感・悪寒・発熱 1〜2日後には粘血便 殆どは1週間で症状改善 インド・インドネシア・汚染輸入食品摂取注意
ウィルス性腸炎 軽症・不顕性のものもある 乳幼児で症状出現し易い 冬季に多い
 ロタウィルス腸炎 嘔気・嘔吐白色水様性下痢便・発熱 予後良好だが時に脳炎・脳症・肝障害などを合併(致死的)感染源/ウィルスの経口感染・給食もある
 ノロウィルス腸炎 初発症状/嘔気・嘔吐 次いで下痢・発熱・腹痛・頭痛 1〜2日で軽快(小児は嘔吐 成人は下痢が多い) 感染源/ヒト・ヒト感染 汚染水・生牡蠣・サラダなど
原虫による腸炎
 アメーバ赤痢・大腸炎 腹痛(回盲部に多い)・テネスムス・粘血下痢便(数回〜10数回/日)大腸感染後に肝臓に寄生し、肝膿瘍を形成する事もある 感染源/赤痢アメーバ生息地の熱帯地方への旅行・同性愛
 クリプトスポリジウム症 激しい水様性下痢・腹痛・嘔吐・発熱 通常1〜2週間で自然治癒 免疫不全者は慢性化し致命的になる事もある 感染源/オーシストが飲食品や汚染された飲料水の摂食・糞便摂食・同性愛







      
§3  腸感染症の治療/腸感染症/下腹部全般/下腹部/痛みと病気


        
一般的には軽症ならば、輸液、整腸薬の経口投与になります。症状が重篤な場合や持続する様なケース

        の場合には、抗生物質の投与も必要になってきます。 本来は便培養により起因菌を特定するのが望まし

        いのですが、これを行うことにより、数日の判定期間が必要になります。そのため、便汁を用いた迅速診断

        法が開発されつつあります。 現状では、食事の内容や潜伏期間、発熱の症状などから起因菌を想定した

        抗生物質を投与される事が多いのが実情です。







      
§4  腸感染症のリスクファクター/腸感染症/下腹部全般/下腹部/痛みと病気


        
食中毒を予防するためには、一般的によく言われることですが、原因菌を体内に侵入させないために、衛

        生に気をつけ、食品の保存、魚介類の水洗い、加熱調理などには細心の注意をする事が大切です。病院

        でも院内感染がありますが、器具の衛生管理や洗浄・消毒の徹底、介助者の衛生管理、院内の環境管理、

        防護具の適切な保護具装着など菌やウィルスを身体につけず、 滞留させず、増殖させず、排除し、殺すな

        どを心がける事が大切です。









       
* 原因微生物類など


細菌 サルモネラ菌、チフス菌、パラチフス菌、腸炎ビブリオ菌コレラ菌、ビブリオ・ミミクス・ビブリオ・フルビアリス、カンピロバクター・ジェジュニ;コリ、腸間病原性大腸菌(血清型病原大腸菌、組織侵入性大腸菌、毒素原性大腸菌、腸間出血性大腸菌、病原性大腸菌)、エルシニア・エンテロコリチカ、セレウス菌、エロモナス・ハイドロフィラ、エロモナス・ソブリア、プレジオモナス・シゲロイデス、ウェルシュ菌、クロストリジウム・ディフィシル、黄色ブドウ球菌、赤痢菌
ウィルス ロタウィルス、カリチウィルス、ノーウォークウィルス、スノーマウンテンウィルス、ミニレオウィルス、腸管アデノウィルス、アストロウィルス、コロナウィルス、エンテロウィルス、プレダウィルス
原虫 赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、クリプトスポリジウム、サイクロスポーラ・カエタネンシス
真菌 カンジダ・アルビカンス
寄生虫

        (熱帯・亜熱帯の発展途上国に旅行をされる場合には、生もの、水、食品に細心の注意が必要になりま

        す。特に
サルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、コレラ菌、カンピロバクター、病原性大腸菌赤痢菌は原因とな

        る起因菌です。
)帰国後に発熱や下痢が続く場合には、直ぐ受診の必要があります。又、赤痢アメーバ

        は発熱の後、腹痛、下痢、血便の症状が確認できますが、同様に熱帯・亜熱帯地方の発展途上国での

        飲み水や生もの、食品などから感染します。



        
* テネスムス;便意が強いのにも拘わらず、便が殆ど出ない。しかし、再度便意が強くなり、この症状を繰

        り返す。(赤痢によく確認される症状)



        
* オーシスト;クリプトスポリジウム属は小腸内で有性生殖と無性生殖で増殖するが、有性生殖で雄性生

        殖体と雌性生殖体が接合してできる球形構造物(直径4×5μm) オーシストは便中に排出された時点で

        感染性を持ちます。



















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