ST部分はQRS波の終了点からT波の開始点までを指します。ST低下は労作狭心症などの心筋虚血で確認
されます。また、運動負荷試験で心筋虚血を生じる場合にも確認できます。 ST上昇は病変部位に一致して
確認され、また鏡像変化という対側の誘導でもST低下が確認される事もあります。 ST上昇が確認される場
合でも、問題の無いケースもあります。
T波は心室の回復過程で生じるもので、T波の増高は急性心筋梗塞の超急性期には、その棘波は、高く尖っ
たものになります。高カリウム血症の場合にはテント状の波になります。
QT間隔は 心室の電気的収縮期間であり、 QTの延長は 脚ブロック・ 心筋梗塞で確認する事ができます。
低カルシウム、低カリウム血症でも確認されます。くも膜下出血ではQT延長・巨大陰性T波・顕著なU波(通
常は見られません)が確認される事があります。 薬の副作用では抗不整脈薬・向精神薬・抗ヒスタミン薬な
どでQT延長が確認され、多形成心室頻拍を来たす事があります。
(宜しければ、こちらも御参考にご覧下さい。正常心電図も御参考にご覧下さい。)
* T波交互現象(心電図データで突然死を予測);突然死に繋がる不整脈には、心室の筋肉が不規則に痙
攣する心室細動などがあります。 突然死は肥満や糖尿病などの生活習慣病も絡みます。
食生活の欧米
化などを考えますと、今後も増加の傾向に変化は無いと思われます。この危険な不整脈の要因には心臓
をコントロールする自律神経の異常や心臓の筋肉の異常などがあります。異常を捉える指標としては、幾
つもあるとされますが、完璧とはいい難い状況にあります。その中でも現在、最も信頼性の高いものとして
は、左室駆出率と呼ばれるもので、超音波診断などで心臓の容積の変化を測定し、算出します。次に信頼
度の高いものとして注目されているのがTWA(T波交互現象)というものです。 『このT波の波形が交互に出
るケースがあり、 奇数拍と偶数拍が肉眼でわかるほど異なると心室細動が起こり易い事は従来より知られ
ております。 これをコンピューターで解析しますと、肉眼では判らないわずかな波形の差も検出でき、それ
に基づき、リスクも予測可能になってきています。』杏林大学医学部のチームが、全身に血液を送り出す左
心室の機能に障害のある295人を対象にした、TWAと生存率の関係を調査し、データを解析した結果、「T
WAのある人は、 無い人に比べて心疾患による死亡率が高い事が判明した」 と報告しています。米ハーバ
ード大のリチャード・ベリエ准教授は、これを他の指標と組み合わせる事により、高い精度の予測が実現で
きるとしています。 |